加茂郡 (三河国)

加茂郡（かもぐん）とは

加茂郡は、かつて愛知県（三河国）に存在した郡です。現在の豊田市とみよし市を中心とした広大な地域を管轄していました。郡域は、現在の豊田市（上郷地区・高岡地区・三分山町・浅谷町・須渕町・上切町・下切町・上中町・下中町・島崎町・一色町・下山田代町・田折町・蕪木町・蘭町および富永町以外の稲武地区を除く）と、みよし市の全域にあたります。2010年の国勢調査では、面積は775.20k㎡、人口は364,459人と、西三河最大、三河国全体でも設楽郡に次ぐ広さでした。

加茂郡の歴史

郡名の由来にはいくつかの説があります。一つは、京都の賀茂神社（鴨社）の神領地であったことに由来するという説、もう一つは、矢作川の上流に位置することから名付けられたという説、また、大鴨積命が治めた土地であることから命名されたという説などがあります。はっきりとしたことは分かっていません。また、三河国賀茂郡松平郷を発祥とする松平氏（徳川氏）は、賀茂神社の氏子であったため、賀茂神社の神紋である葵紋を家紋としたと伝えられています。

大宝年間以前は「鴨評（かものこおり）」と表記されていました。三河国以外にも全国各地に賀茂郡や賀茂郷が存在し、賀茂郡は賀茂神社の神郡とも言われています。

古代には、現在の豊田市（稲武含む）・みよし市・設楽町（名倉・津具）・豊根村（豊根、富山）・長野県根羽村に及ぶ広大な地域でした。室町時代まで野原村は、加茂郡足助荘仁木郷でしたが、この地域を支配する領主が、隣接する美濃国恵那郡の領主であった明知遠山氏へ娘を嫁がせる際に、野原村を美濃国恵那郡に化粧料として割き与えたと伝えられています。

16世紀には、稲武、名倉、津具、豊根、富山が設楽郡に郡替えされ、現在の長野県根羽村の領域が信濃国に編入されました。これは、武田信玄の三河侵攻に伴い領域化されたのが原因とされています。

加茂郡には以下の7郷が存在していました。

賀茂（かも） - 現在の豊田市旭町のあたり
伊保（いぼ） - 現在の豊田市保見町・伊保町のあたり
挙母（ころも） - 現在の豊田市中心部周辺
高橋（たかはし） - 現在の豊田市高橋町・美里のあたり
山田（やまだ） - 現在の豊田市松平町のあたり
賀禰（かね） - 現在の豊田市稲武町のあたり
信茂（しも） - 現在の豊田市下山地区のあたり

近世以降の沿革

近世以降の所属町村の変遷は、東加茂郡と西加茂郡の沿革を参照してください。

明治初年時点での支配は、幕府領は中泉代官所が管轄していました。当時の村数は353村で、内訳は以下の通りです。

後の東加茂郡域（206村） - 幕府領、旗本領、三河吉田藩、信濃竜岡藩
後の西加茂郡域（147村） - 幕府領、旗本領、三河挙母藩、尾張名古屋藩、三河吉田藩、三河西尾藩、上総大多喜藩、三河西大平藩

慶応4年（1868年）には、幕府領、旗本領、大多喜藩領が三河裁判所の管轄となり、その後、三河県、駿河府中藩、三河重原藩、伊那県と管轄が目まぐるしく変わりました。明治4年（1871年）の廃藩置県により、各藩領が豊橋県、挙母県、名古屋県、西尾県、西大平県、静岡県、重原県の管轄となりましたが、同年中に全域が額田県の管轄となりました。明治5年（1872年）には、愛知県の管轄となりました。

明治11年（1878年）の郡区町村編制法の愛知県での施行により、加茂郡は東加茂郡と西加茂郡に分割され、加茂郡としての歴史を終えました。この分割により、足助村ほか206村が東加茂郡、挙母村ほか147村が西加茂郡となりました。

加茂郡の現在

加茂郡は消滅しましたが、その名残は、東加茂郡と西加茂郡の地域に引き継がれています。この地域は、豊かな自然と歴史的遺産に恵まれており、多くの人々が訪れる観光地となっています。また、加茂郡は、日本の歴史を語る上で重要な役割を果たした地域の一つとして、その名を歴史に刻んでいます。

参考文献

「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 23 愛知県、角川書店、1989年3月8日。ISBN 4040012305。
旧高旧領取調帳データベース

関連項目

消滅した郡の一覧
加茂郡
賀茂郡
* 東三河

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