加藤貴之 (野球)
加藤 貴之は、千葉県南房総市出身のプロ野球選手。北海道日本ハムファイターズに所属する左投げ左打ちの投手である。NPBにおけるシーズン最少与四球記録保持者としても知られる。
野球を始めたのは小学校2年生の時で、白浜ブルーホークスに所属。5年生からは投手としてプレーした。白浜中学時代は軟式野球部で活動。
拓殖大学紅陵高等学校に進学後、2年春にベンチ入りを果たす。2年夏は背番号11ながら主戦投手の一角として活躍したが、千葉大会決勝で敗れ甲子園出場は叶わなかった。エースとして迎えた3年夏も、4回戦で習志野高校に敗れ、甲子園への夢は実現しなかった。
2011年、日本製鉄かずさマジックに入社。当初は内野手（一塁）として野球の基礎を学びつつ、打撃投手などを務めていたが、入社2年目の夏に再び投手へ転向。3年目には岡本健とともにチームの主力を担い、2013年の都市対抗では13年ぶりのベスト4進出、日本選手権ではチーム初の優勝にリリーフとして貢献した。岡本が退社した4年目からはエースとしてチームを牽引。2014年の都市対抗では好投を見せるも、惜しくも敗退を喫した。同年9月には仁川アジア大会の日本代表に選出され、ドラフト上位候補に挙がったが、左肘の状態や会社への貢献を理由に残留を決断。入社5年目の2015年は不調に苦しみ、チームも都市対抗本選出場を逃すなど厳しいシーズンとなった。
2015年10月22日に行われたプロ野球ドラフト会議で、北海道日本ハムファイターズから2位指名を受けた。契約金7000万円、年俸1200万円（金額は推定）で入団に合意し、背番号は14に決まった。
2016年、中継ぎとして開幕一軍入り。プロ初登板は3月26日のロッテ戦だった。その後、有原航平の離脱に伴い急遽先発に配置転換され、4月16日のロッテ戦でプロ初勝利を記録。これはパ・リーグ新人最速の初勝利だった。シーズン中は中継ぎと先発を兼任し、打球直撃による負傷離脱などもあったが、7月後半からは先発ローテーションに定着。様々な起用法に対応し、30試合（16先発）で7勝3敗1ホールド、防御率3.45をマークし、チームのリーグ優勝に貢献。日本一も経験したが、自身はポストシーズンで悔しい投球となった。オフに推定年俸2600万円で契約更改。
2017年は初の開幕ローテーション入り。春先は好調だったが、シーズン中盤に調子を落とし登録抹消。再登録後は復調しローテーションを守った。21試合全てに先発し、6勝6敗、防御率3.53の成績。オフに推定年俸3200万円で契約更改。
2018年も開幕ローテーション入りするも、投球が安定せず、複数回登録抹消と再登録を繰り返した。シーズン終盤には中継ぎを経て先発に戻ったが、成績は伸び悩み、26試合（17先発）で5勝8敗3ホールド、防御率4.53となった。オフは推定年俸3300万円で契約更改。
2019年、メジャーリーグを参考にした新戦術「ショートスターター」を任される。これは先発投手が打者一巡程度で交代する起用法で、21先発のうち7試合で務めた。26試合（21先発）で5勝7敗1ホールド、防御率3.52だったが、新戦術への適応力が評価され、推定年俸5700万円と大幅増で契約更改。
2020年は短縮シーズンとなる中、開幕先発を務めるも不安定な投球が続き、ショートスターターや中継ぎでの登板が増えた。二軍調整期間もあったが、28試合（7先発、ショートスターター3度）で4勝2敗1ホールド、防御率3.26を記録。オフに推定年俸5400万円で契約更改。
2021年は開幕ローテーションに入り、好投する試合が多かったが、打線の援護に恵まれない登板が続いた。それでも一度も登録抹消されることなくローテーションを守り、10月18日の楽天戦でプロ入り初完投・初完封を無四球で飾った。これは先発106試合目での達成で、史上最も遅い記録となった。この年は25試合全てに先発し、6勝7敗ながらチーム2位の150投球回で自身初の規定投球回に到達。防御率3.42をマークした。オフに推定年俸7300万円で契約更改。
2022年、開幕カードでは継投策の中でリリーフ登板しホールドを記録。その後は先発に回り、4月19日の楽天戦では90球の「マダックス」で無四球完封勝利を達成した。交流戦では4先発26イニング無失点という、パ・リーグ投手史上初の快挙を成し遂げた。シーズン中には腰痛や新型コロナウイルス感染による離脱もあったが、復帰後は安定した投球を続けた。9月にはシーズン2度目の無四球完封勝利を飾り、規定投球回に到達。最終的にシーズン与四球11を確定させ、野口二郎が1950年に記録したプロ野球記録を72年ぶりに更新した。援護率リーグワーストながら、22試合（21先発）で8勝7敗1ホールド、防御率2.01（リーグ3位）と抜群の安定感を発揮。新庄剛志監督から翌年の開幕投手に指名された。オフは複数年契約を固辞し、推定年俸1億3500万円の単年契約にサインした。
2023年は前年の宣言通り開幕投手を務めた。開幕から敗戦が続いたが、4月14日の西武戦で今季初勝利を完投で飾る。5月には月間防御率0.30で3勝を挙げ、自身初の月間MVPを受賞した。交流戦や後半戦序盤は好投しても勝ち星に繋がらない登板が目立ったが、登板内容の評価は高く、監督推薦で自身初のオールスターゲームにも選出された。夏場に左肘の張りで一時離脱したが、9月に復帰しシーズン終了までローテーションを全う。24試合の先発で7勝9敗、防御率2.87を記録。国内FA権を取得したが、行使せず日本ハムに残留することを発表。推定総額12億円の4年契約を結んだ。
2024年も開幕ローテーション入り。序盤はやや不安定だったが、4月21日のロッテ戦で無四球完封勝利を達成。5月25日の楽天戦でも無四球完封を記録し、54回2/3連続無四球のNPB歴代4位タイ記録を樹立した。一方で、時折大量失点を喫する試合も見られた。7月には一時登録抹消されるも、復帰後は調子を上げ、月間防御率0.82を記録。8月からは自身5連勝をマークした。9月22日のオリックス戦で無四球完投勝利を挙げ、プロ入り初の2桁勝利となる10勝目を達成。この年は27試合の先発で10勝9敗、防御率2.70とキャリア最高の成績を残した。クライマックスシリーズではファーストステージ、ファイナルステージでそれぞれ先発したが、勝利投手とはならなかった。
ストレートの平均球速は130km/h台後半ながら、球速以上に速く感じさせるキレが特徴。変化球はスライダー、カットボール、カーブ、フォーク、チェンジアップ、シュートと非常に多彩。ゆったりとした二段モーションから、リリースの瞬間に力を集中させ、ほとんど同じ腕の振りで直球と変化球を投げ分ける技術を持つ。
最大の武器は卓越した「制球力」である。2021年シーズンは先発登板25試合中、3四球以上を与えたのがわずか1試合という驚異的な数字で、与四球率1.26はリーグトップだった。さらに2022年シーズンには、ストライク率71.5%、K/BB|K_BB 8.91を記録。特に与四球率は0.67、シーズン与四球数は11という数字はいずれも規定投球回到達者におけるプロ野球新記録であり、精密機械とも称されるコントロールの正確さを証明した。
愛称は「カトちゃん」。2020年3月に一般女性と結婚している。プロゴルファーの成田美寿々とは高校の同級生にあたる。
経歴
プロ入り前
野球を始めたのは小学校2年生の時で、白浜ブルーホークスに所属。5年生からは投手としてプレーした。白浜中学時代は軟式野球部で活動。
拓殖大学紅陵高等学校に進学後、2年春にベンチ入りを果たす。2年夏は背番号11ながら主戦投手の一角として活躍したが、千葉大会決勝で敗れ甲子園出場は叶わなかった。エースとして迎えた3年夏も、4回戦で習志野高校に敗れ、甲子園への夢は実現しなかった。
2011年、日本製鉄かずさマジックに入社。当初は内野手（一塁）として野球の基礎を学びつつ、打撃投手などを務めていたが、入社2年目の夏に再び投手へ転向。3年目には岡本健とともにチームの主力を担い、2013年の都市対抗では13年ぶりのベスト4進出、日本選手権ではチーム初の優勝にリリーフとして貢献した。岡本が退社した4年目からはエースとしてチームを牽引。2014年の都市対抗では好投を見せるも、惜しくも敗退を喫した。同年9月には仁川アジア大会の日本代表に選出され、ドラフト上位候補に挙がったが、左肘の状態や会社への貢献を理由に残留を決断。入社5年目の2015年は不調に苦しみ、チームも都市対抗本選出場を逃すなど厳しいシーズンとなった。
2015年10月22日に行われたプロ野球ドラフト会議で、北海道日本ハムファイターズから2位指名を受けた。契約金7000万円、年俸1200万円（金額は推定）で入団に合意し、背番号は14に決まった。
北海道日本ハムファイターズ時代
2016年、中継ぎとして開幕一軍入り。プロ初登板は3月26日のロッテ戦だった。その後、有原航平の離脱に伴い急遽先発に配置転換され、4月16日のロッテ戦でプロ初勝利を記録。これはパ・リーグ新人最速の初勝利だった。シーズン中は中継ぎと先発を兼任し、打球直撃による負傷離脱などもあったが、7月後半からは先発ローテーションに定着。様々な起用法に対応し、30試合（16先発）で7勝3敗1ホールド、防御率3.45をマークし、チームのリーグ優勝に貢献。日本一も経験したが、自身はポストシーズンで悔しい投球となった。オフに推定年俸2600万円で契約更改。
2017年は初の開幕ローテーション入り。春先は好調だったが、シーズン中盤に調子を落とし登録抹消。再登録後は復調しローテーションを守った。21試合全てに先発し、6勝6敗、防御率3.53の成績。オフに推定年俸3200万円で契約更改。
2018年も開幕ローテーション入りするも、投球が安定せず、複数回登録抹消と再登録を繰り返した。シーズン終盤には中継ぎを経て先発に戻ったが、成績は伸び悩み、26試合（17先発）で5勝8敗3ホールド、防御率4.53となった。オフは推定年俸3300万円で契約更改。
2019年、メジャーリーグを参考にした新戦術「ショートスターター」を任される。これは先発投手が打者一巡程度で交代する起用法で、21先発のうち7試合で務めた。26試合（21先発）で5勝7敗1ホールド、防御率3.52だったが、新戦術への適応力が評価され、推定年俸5700万円と大幅増で契約更改。
2020年は短縮シーズンとなる中、開幕先発を務めるも不安定な投球が続き、ショートスターターや中継ぎでの登板が増えた。二軍調整期間もあったが、28試合（7先発、ショートスターター3度）で4勝2敗1ホールド、防御率3.26を記録。オフに推定年俸5400万円で契約更改。
2021年は開幕ローテーションに入り、好投する試合が多かったが、打線の援護に恵まれない登板が続いた。それでも一度も登録抹消されることなくローテーションを守り、10月18日の楽天戦でプロ入り初完投・初完封を無四球で飾った。これは先発106試合目での達成で、史上最も遅い記録となった。この年は25試合全てに先発し、6勝7敗ながらチーム2位の150投球回で自身初の規定投球回に到達。防御率3.42をマークした。オフに推定年俸7300万円で契約更改。
2022年、開幕カードでは継投策の中でリリーフ登板しホールドを記録。その後は先発に回り、4月19日の楽天戦では90球の「マダックス」で無四球完封勝利を達成した。交流戦では4先発26イニング無失点という、パ・リーグ投手史上初の快挙を成し遂げた。シーズン中には腰痛や新型コロナウイルス感染による離脱もあったが、復帰後は安定した投球を続けた。9月にはシーズン2度目の無四球完封勝利を飾り、規定投球回に到達。最終的にシーズン与四球11を確定させ、野口二郎が1950年に記録したプロ野球記録を72年ぶりに更新した。援護率リーグワーストながら、22試合（21先発）で8勝7敗1ホールド、防御率2.01（リーグ3位）と抜群の安定感を発揮。新庄剛志監督から翌年の開幕投手に指名された。オフは複数年契約を固辞し、推定年俸1億3500万円の単年契約にサインした。
2023年は前年の宣言通り開幕投手を務めた。開幕から敗戦が続いたが、4月14日の西武戦で今季初勝利を完投で飾る。5月には月間防御率0.30で3勝を挙げ、自身初の月間MVPを受賞した。交流戦や後半戦序盤は好投しても勝ち星に繋がらない登板が目立ったが、登板内容の評価は高く、監督推薦で自身初のオールスターゲームにも選出された。夏場に左肘の張りで一時離脱したが、9月に復帰しシーズン終了までローテーションを全う。24試合の先発で7勝9敗、防御率2.87を記録。国内FA権を取得したが、行使せず日本ハムに残留することを発表。推定総額12億円の4年契約を結んだ。
2024年も開幕ローテーション入り。序盤はやや不安定だったが、4月21日のロッテ戦で無四球完封勝利を達成。5月25日の楽天戦でも無四球完封を記録し、54回2/3連続無四球のNPB歴代4位タイ記録を樹立した。一方で、時折大量失点を喫する試合も見られた。7月には一時登録抹消されるも、復帰後は調子を上げ、月間防御率0.82を記録。8月からは自身5連勝をマークした。9月22日のオリックス戦で無四球完投勝利を挙げ、プロ入り初の2桁勝利となる10勝目を達成。この年は27試合の先発で10勝9敗、防御率2.70とキャリア最高の成績を残した。クライマックスシリーズではファーストステージ、ファイナルステージでそれぞれ先発したが、勝利投手とはならなかった。
選手としての特徴
ストレートの平均球速は130km/h台後半ながら、球速以上に速く感じさせるキレが特徴。変化球はスライダー、カットボール、カーブ、フォーク、チェンジアップ、シュートと非常に多彩。ゆったりとした二段モーションから、リリースの瞬間に力を集中させ、ほとんど同じ腕の振りで直球と変化球を投げ分ける技術を持つ。
最大の武器は卓越した「制球力」である。2021年シーズンは先発登板25試合中、3四球以上を与えたのがわずか1試合という驚異的な数字で、与四球率1.26はリーグトップだった。さらに2022年シーズンには、ストライク率71.5%、K/BB|K_BB 8.91を記録。特に与四球率は0.67、シーズン与四球数は11という数字はいずれも規定投球回到達者におけるプロ野球新記録であり、精密機械とも称されるコントロールの正確さを証明した。
人物
愛称は「カトちゃん」。2020年3月に一般女性と結婚している。プロゴルファーの成田美寿々とは高校の同級生にあたる。
記録・表彰など
- - 月間MVP: 1回（2023年5月 投手部門）
- - 月間最優秀バッテリー賞: 1回（2022年交流戦、捕手：宇佐見真吾）
- - 初記録: 初登板（2016年3月26日）、初奪三振（2016年3月30日）、初先発登板（2016年4月9日）、初勝利・初先発勝利（2016年4月16日）、初ホールド（2016年7月10日）、初完投・初完封勝利（2021年10月18日 無四球）など。
- - 節目の記録: 1000投球回（2024年6月9日 史上370人目）
- - その他の記録: 初完投までの所要先発登板数106試合（史上最多）、マダックス（2022年4月19日 90球）、シーズン与四球11（2022年 規定投球回到達者では史上最少）、シーズン与四球率1.00未満2度達成（2022年 0.67：史上7人目7度目、規定投球回到達者におけるプロ野球記録 / 2023年 0.94：史上10度目）、2年連続シーズン与四球率1.00未満（史上初）、開幕投手（2023年）、オールスターゲーム出場（2023年）。
- - 背番号: 14（2016年 - ）
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