労働者農民党 (1928)

労働者農民党の歴史

概要

労働者農民党（ろうどうしゃのうみんとう）は、昭和初期に成立した無産政党の一つで、その活動は非常に短期間に終わった。党は「新党組織準備会」によって結成されたが、合法政党に関する日本共産党の方針変更により、すぐに結社が禁止され、実質的な活動を行うことなく消滅した。本項では、この党の背景や結成準備のための組織、そしてその後の政治的動向について詳述する。

新党組織準備会の結成

1928年、昭和3年には第1回普通選挙が行われ、無産政党内で合同の動きが高まった。同年には三・一五事件があり、労働者農民党などの団体が政府によって解散させられ、これに伴い懐疑的な気持ちを抱いた一部の同志により、翌4月には新党組織準備会が設立された。幹事長には大山郁夫が就任し、当初は日本共産党の支援も受けていた。しかし、旧労農党と関わりをもった労農派はこの動きを離れ、鈴木茂三郎を幹事長に据えた無産大衆党を結成し、同年末には日本大衆党の結成に至った。

労働者農民党の即日禁止

しかしながら、1928年7月のコミンテルン第6回大会での決定により、共産主義者以外のプロレタリアートの政党は不要であるとの見解が示された。この方針の影響で、日本共産党は新党の再建に反対する姿勢を強めた。共産党は新設政党に旧来のスローガンを使用させつつ、意図的に失敗するよう仕向ける戦術を取った。その結果、労働者農民党は結成後間もなく解散してしまい、左翼の統一戦線は混乱を極めることとなった。

政治的自由獲得労農同盟と分裂

同時期に共産党は、結成された新党組織準備会を「政治的自由獲得労農同盟」に改編し、合法政党の結成を放棄させようとした。しかしこの同盟も厳しい弾圧に直面し、大衆運動の組織はままならなかった。また、旧労農党右派に属する水谷長三郎らは新たに労農大衆党を結成し、地方無産政党との統一運動に取り組むようになった。

新労農党の結成

労農党の再建を目指す大山や細迫兼光らは、1929年の四・一六事件後に共産党の影響力が低下したことを受け、約8ヶ月後に新労農党を結成する旨の提案を発表した。これにより政獲同盟は混乱し、大山らは即座に同盟から除名される。共産党は大山らを裏切り者として扱い、政獲同盟を共産党寄りに引き締めようと試みるが、うまくいかず、同盟は自然消滅してしまった。

まとめと影響

戦後になって日本共産党は労働者農民党の結成における玉砕方針についての自己批判を行った。初期の合法政党の再建を妨害する共産党の行動は、最終的に無産政党の中での左翼の影響力を後退させ、中間派や右派の主導権を強化する結果となった。このように、労働者農民党の短い歴史は、日本の左翼政治の複雑な流れを示す重要な一幕であったと言える。

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