勧修寺徳子

勧修寺徳子（かしゅうじ なりこ）

勧修寺徳子は、天明8年（1788年）に生まれ、明治11年（1878年）に没した江戸時代後期から明治初期にかけての女性です。彼女は、仁孝天皇の典侍として宮中に仕え、その生涯を皇室に捧げました。

生涯

勧修寺徳子は、権大納言である勧修寺経逸の娘として生まれました。母は家女房であり、姉には仁孝天皇の生母である勧修寺婧子（東京極院）がいます。彼女は幼名を直（なお）、またはみなといい、細井、権典侍、督典侍、新中納言典侍、新大典侍、藤大納言、京極といった号を持っていました。

寛政12年（1800年）、姉の婧子が後の仁孝天皇となる儲君を生んだことから、上臈代として宮中に召し上げられました。文化6年（1809年）には儲君付上臈となり、「細井」と号しました。文化14年（1817年）に仁孝天皇が践祚すると、権典侍となり、仁孝天皇と孝明天皇の信任を得て、両天皇の皇子・皇女の養育に携わりました。しかし、実際に成長したのは和宮親子内親王のみでした。

安政4年（1857年）には新大典侍に進み、文久2年（1862年）に隠居する際には、従三位と藤大納言の称号が与えられました。和宮降嫁問題が起こると、孝明天皇の意向を受け、和宮の説得にあたり、御世話掛として江戸城に入りました。その後、京都に戻り、慶応4年（1868年）7月に宮中を退きました。

明治10年（1877年）、長年の功績により正三位に叙せられました。明治11年（1878年）、91歳で亡くなり、墓は京都市中京区の誓願寺にあります。

勧修寺徳子は、激動の時代を生きた女性であり、皇室への忠誠と献身的な働きによって、その名を歴史に刻みました。彼女の生涯は、宮廷における女性の役割と、時代に翻弄されながらも懸命に生きた人々の姿を今に伝えています。

参考文献

東京大学史料編纂所所蔵『勧修寺家譜』
日本歴史学会編『明治維新人名辞典』（吉川弘文館、1981年） ISBN 978-4-642-03114-1
宮崎十三八 他編『幕末維新人名辞典』（新人物往来社、1994年） ISBN 978-4-404-02063-5

関連項目

勧修寺家

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