北ノ俣岳

北ノ俣岳（きたのまただけ）

北ノ俣岳は、富山県富山市と岐阜県飛騨市にまたがる飛騨山脈（北アルプス）に位置する標高2,662mの山です。古くから、富山県側では「上ノ岳（かみのだけ）」、岐阜県側では「北ノ俣岳」と呼ばれてきました。

概要

この山域は中部山岳国立公園の特別保護地区に指定されており、豊かな自然が保たれています。また、「新・花の百名山」にも選定されており、高山植物の宝庫としても知られています。北ノ俣岳の山頂部は広くハイマツ帯が広がり、雪解け後にはハクサンイチゲをはじめとする色とりどりの高山植物が咲き乱れます。

北ノ俣岳から北へは、太郎兵衛平を経て立山連峰の薬師岳へと続く稜線が、東へは赤木岳、黒部五郎岳へと続く稜線が連なっています。山頂には三等三角点（点名：北俣岳）が設置されており、ここからは南に黒部五郎岳、笠ヶ岳、乗鞍岳、東に三俣蓮華岳、鷲羽岳、水晶岳、雲ノ平、北に薬師岳など、360度の大パノラマを楽しむことができます。

登山

北ノ俣岳への主な登山ルートは以下の通りです。

飛越新道：有峰林道東谷線の飛越トンネルが登山口となっており、仙人峠、鏡池、寺地山を経て北ノ俣岳避難小屋に至り、そこから山頂を目指します。このルートは、かつての神岡新道に代わる新しいルートとして利用されています。
神岡新道：打保から水ノ平、仙人峠、鏡池、寺地山を経て北ノ俣岳避難小屋に至るルートです。1962年に開設された歴史ある登山道ですが、飛越新道の開通により、利用者は減少傾向にあります。
有峰口：折立から太郎平小屋、太郎山を経て北ノ俣岳に至るルートです。立山連峰縦走の一部として利用されることもあります。
西銀座ダイヤモンドコース：主稜線縦走路の一部として、北ノ俣岳を通過するルートです。

登山道周辺には、高山植物が豊富に見られます。特に、寺地山へ向かう登山道は、ぬかるみが多いものの、ミズバショウなどの高山植物が観察できます。寺地山と北ノ俣岳の間の鞍部には北ノ俣避難小屋があり、その上部には高層湿原が広がっています。湿原には池塘が点在し、木道が整備されており、ニッコウキスゲ、ワタスゲ、チングルマなどの群生地となっています。

周辺の山小屋

北ノ俣岳周辺の登山道には、登山者向けの山小屋やキャンプ指定地があります。最も近い山小屋は、飛越新道沿いにある北ノ俣岳避難小屋です。

地理

北ノ俣岳は、立山連峰の主稜線である薬師岳と黒部五郎岳の間に位置し、なだらかな山容が特徴です。西には寺地山へと続く尾根が延びています。

源流の河川

北ノ俣岳を源流とする河川は、いずれも日本海に流れ込みます。

北ノ俣川（高原川の支流）
真川（常願寺川の支流）
薬師沢の左俣（黒部川の支流）

自然

北ノ俣岳では、7月上旬にニッコウキスゲ、8月中旬にミヤマキンポウゲ、ヨツバシオガマ、ミヤマリンドウ、ウサギギクなどの高山植物が咲き誇り、登山者の目を楽しませてくれます。

関連情報

関連図書
『飛騨の山 研究と案内』ナカニシヤ出版、2010年、ISBN 978-4-779-50504-1
『剱・立山 (山と高原地図 36) 』昭文社、2010年、ISBN 978-4-398-75716-6
関連項目
飛騨山脈（北アルプス）
新・花の百名山
中部山岳国立公園
* 西銀座ダイヤモンドコース

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