北比布駅

北比布駅：上川盆地を望む小さな駅の軌跡

北海道上川郡比布町に位置していた北比布駅は、北海道旅客鉄道（JR北海道）宗谷本線に属する駅でした。2021年3月13日のダイヤ改正をもって廃止となり、現在は廃駅となっています。

開業から廃止まで

北比布駅の開業は1955年12月2日、日本国有鉄道宗谷本線の仮乗降場としてでした。当時、隣接する永山村に北永山仮乗降場（現在の北永山駅）が開設された後、比布村でも駅の開設機運が高まり、住民たちの強い要望によって実現した駅です。1959年には仮乗降場から駅に昇格し、北比布駅となりました。

その後、地元住民の負担により待合所が設置され、利用客に利用されてきました。しかし、時代の流れとともに利用客は減少。2014年には老朽化した初代待合所が解体され、新たな待合所が設置されました。しかし、利用客減少の傾向は変わらず、JR北海道は2019年、沿線自治体に当駅を含む29駅の存廃について協議を要請。比布町は2020年3月に廃止を決定し、同年10月には駅名標の盗難事件も発生。そして、2021年3月13日、北比布駅は歴史の幕を閉じました。

駅の構造と周辺環境

北比布駅は、単式ホーム1面1線を有する地上駅で、駅舎はありませんでした。ホームは線路の東側に位置し、稚内方面に向かって右手側にありました。分岐器を持たない棒線駅で、ホーム北側には待合所が設置されていました。コンクリートブロック造りの待合所は、2014年に解体され、南比布駅と同型の新しい待合所が設置されました。ホームには稚内方にスロープがあり、駅の外へとつながっていました。ホームの有効長は1両分のみで、トイレは設置されていませんでした。

駅周辺は上川盆地の稲作地帯が広がり、大雪山系の山々を望むことができました。北海道道520号鷹栖東鷹栖比布線や比布川も近く、道北バスの停留所もありました。

利用状況と今後の課題

北比布駅の利用状況は年々減少の一途を辿っており、廃止の決定要因となりました。具体的な乗車人員のデータは公開されていませんが、限られた本数の普通列車しか停車しない状況でした。これは宗谷本線全体の利用者減少という背景と、地域の交通事情の変化も影響していると考えられます。

北比布駅の廃止は、地域住民にとって大きな影響を与えました。公共交通機関の利用が減少する中で、代替交通手段の確保や地域活性化のための新たな取り組みが課題として残されています。

まとめ

北比布駅は、地域住民の強い要望によって誕生し、長年にわたり地域社会に貢献した駅でした。しかし、利用者減少という時代の流れには抗えず、廃駅となりました。その歴史と周辺環境、そして廃止によって浮き彫りになった課題は、地方における公共交通のあり方について改めて考えるきっかけを与えてくれます。

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