北西ハワイ諸島

北西ハワイ諸島：太平洋に浮かぶ貴重な自然遺産

北西ハワイ諸島は、ハワイ諸島の北西、カウアイ島からミッドウェー諸島にかけて約2,200kmにわたり点在する33の島嶼群です。そのほとんどが無人島であり、手つかずの自然が残されています。別名リーワード諸島とも呼ばれ、ウィンドワード諸島（他のハワイの島々）とは対照的な地理的特徴を持っています。

古代の記憶と島々の歴史

北西ハワイ諸島の歴史は、考古学的な史料から推測するしかありません。ネッカー島やニホア島からは古代の居住跡が見つかっており、初期のポリネシア人がハワイ諸島へ移住する過程で、これらの島々にも足を踏み入れたと考えられています。しかし、その後、これらの島々は放棄されたか、居住者が全滅したと考えられ、近代に至るまで無人島としての歴史を刻んできました。

野生生物の楽園

北西ハワイ諸島は、まさに野生生物の宝庫です。クロアシアホウドリ、ハワイモンクアザラシ、レイサンマガモ、アオウミガメなど、絶滅の危機に瀕している貴重な生物たちが生息しています。これらの島々は、1909年にアメリカ合衆国の国立自然保護区に指定され、厳重な保護下に置かれています。一般の立ち入りは厳しく制限されており、上陸する際には冷凍殺菌された新しい衣服への着替えが義務付けられています。フレンチフリゲート環礁のターン島には魚類野生生物局の基地が、リシアンスキー島には研究者のためのテントが設置されており、調査・研究活動が行われています。

パパハナウモクアケア海洋ナショナル・モニュメント

2006年、北西ハワイ諸島全域は、自然保護政策の一環として、アメリカ合衆国ナショナル・モニュメントに指定されました。それが、パパハナウモクアケア海洋ナショナル・モニュメントです。この指定により、北西ハワイ諸島の生態系保護はさらに強化されました。2010年には、その卓越した普遍的価値が認められ、ユネスコの世界遺産（複合遺産）にも登録されています。

深刻な環境問題

北西ハワイ諸島は、太平洋の海流の影響を受けやすく、周辺海域から大量の漂着ゴミが流れ着きます。これらのゴミは、海洋生態系に深刻な影響を与えており、野生生物の生存を脅かす大きな問題となっています。

北西ハワイ諸島の島々

北西ハワイ諸島を構成する主な島嶼は以下の通りです。

ニホア島（Nihoa Island）
ネッカー島（Necker Island）
フレンチフリゲート瀬（French Frigate Shoals）
ガードナー尖礁（Gardner Pinnacle）
マロ環礁（Maro Reef）
レイサン島（Laysan Island）
リシアンスキー島（Lisianski Island）
パールアンドハーミーズ環礁（Pearle and Hermes Atoll）
ミッドウェー環礁（Midway Atoll）
クレ環礁（Kure Atoll）

これらの島々のうち、ミッドウェー環礁を除き、すべてハワイ州に属しています。

北西ハワイ諸島は、その独特な生態系と歴史的背景から、地球上で最も重要な自然保護区の一つとされています。しかし、同時に、海洋汚染という深刻な問題にも直面しています。この貴重な自然遺産を未来世代に引き継ぐために、国際的な協力による保護活動が不可欠です。

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