北部同盟 (アフガニスタン)

北部同盟とは

北部同盟、正式名称アフガニスタン救国・民族イスラム統一戦線は、アフガニスタンにおける重要な政治勢力です。1996年にターリバーンがカーブルを制圧した後、反ターリバーン政権として北部地域を統治しました。この名称は、外国メディアによって普及したものであり、政治的な背景が色濃く反映されています。

結成の背景

アフガニスタンは、共産政権の崩壊以降、ムジャーヒディーン勢力同士の争いが続き、混乱した状況にありました。1994年になると、パキスタン軍統合情報局の支援を受けたターリバーンが台頭し、彼らの勢力拡大によって他のムジャーヒディーン派の影響力は減少していきました。1996年、ターリバーンがカーブルを陥落させると、既存の勢力は再結集を決意し、反ターリバーンの枢軸として北部同盟を結成しました。この連合は、アフガニスタン・イスラム国政府を中心に構築されました。

政治構造と民族的背景

アフガニスタン・イスラム国政府では、ブルハーヌッディーン・ラッバーニーが引き続き大統領職を担い、閣僚にはターリバーン以前の政府から続投している者が多数存在しました。特に、国防相のアフマド・シャー・マスードをはじめとするタジク人や、ウズベク人、ハザーラ人などの多様な民族が北部同盟に参加しました。このような構成から、北部同盟はターリバーンに対抗するための多民族連合としての性格を持ち、アフガニスタンの45％を占めるパシュトゥーン人を主軸にするターリバーンに対抗する側面があったのです。

戦闘と勢力の変遷

ターリバーンの勢力が増すにつれて、北部同盟は徐々に支配地域を失っていきました。2001年には、マスードが暗殺されるなど困難な状況にさらされました。同年、アメリカでの同時多発テロ事件が発生すると、ターリバーンの指導者ウサーマ・ビン・ラーディンの引き渡しを拒否した結果、アメリカ合衆国が攻撃を決定。北部同盟は有志連合の支援によって反攻し、11月13日にはカーブルを奪還しました。これによって、北部同盟の政権交代が国際的に承認されました。

平和プロセスとその後

北部同盟はその後、ボンで開催された主要四派の協議に参加し、暫定政府の設立に合意しました。この暫定政府では北部同盟が過半数の閣僚ポストを占有し、ラッバーニーは政治の表舞台から退くことになりました。その後、解放された武装勢力はアフガニスタン軍に合流するなどして、徐々に政治活動に移行していきました。

2021年のタリバン復活

2021年、タリバンが再び力を持つと、アフマド・シャー・マスードの息子が、アムルッラー・サーレハ第1副大統領と共にパンジシール渓谷での抵抗運動を呼びかけ、再び北部同盟が注目を集めています。この渓谷には北部同盟の旗が掲げられ、多くの支持者が集結しています。

このように、北部同盟はアフガニスタンの近代史において重要な役割を果たしてきました。彼らの歴史は、アフガニスタンの政治や民族問題の複雑さを映し出しており、その影響は今もなお続いているのです。

もう一度検索