北野政次

北野政次（きたの まさじ）

北野政次（1894年7月14日 - 1986年5月17日）は、日本の陸軍軍人、医師、細菌学者です。最終階級は陸軍軍医中将で、勲三等を受章しています。東京帝国大学で医学博士号を取得しており、博士論文は「チフス及パラチフス菌属の血清耐性に関する実験的研究」です。

人物

兵庫県出身で、関東軍防疫給水部長や第13軍軍医部長を歴任しました。旧制第八高等学校を経て東京帝国大学医学部を卒業後、大日本帝国陸軍に入隊。その後、第2代731部隊隊長を務め、人体実験や細菌攻撃を推進したとされています。

経歴

軍医としてのキャリアを積む一方で、戦後は文部省に勤務し、日本ブラッドバンクの創設に関与しました。同社では顧問に就任し、凍結乾燥装置を用いた乾燥血漿製造の研究成果を応用し、血液製剤の製造販売を行いました。また、設立初期には朝鮮戦争における米軍向けの輸血用血液製造も行っています。さらに、戦後初の日本人探検隊を南極に派遣する第一期南極特別委員会の委員や、文部省百日咳研究会などにも参加しています。

年譜

1894年（明治27年）7月14日：兵庫県に生まれる。
1920年（大正9年）：東京帝国大学医学部卒業。
1921年（大正10年）：陸軍二等軍医（軍医中尉）に任官。
1926年（大正15年）：東京帝国大学から医学博士学位を授与。
1932年（昭和7年）8月：東京第一衛戍病院附兼陸軍省医務局課員。その後、病院附を解かれ、医務課員と陸軍軍医学校教官を兼任。石井四郎とともに中国東北地方に軍医少佐として赴任。
1936年（昭和11年）6月8日：満州医科大学細菌学教授に就任。主任を担当。
1942年（昭和17年）8月1日：関東軍防疫給水部（731部隊）に着任。1945年3月1日まで、石井四郎の後任として第2代部隊長を務める。
1945年（昭和20年）4月30日：陸軍軍医中将に昇進。支那派遣軍（上海）第13軍軍医部長となる。8月、終戦に伴い上海で捕虜となり、刑務所に拘留される。
1946年（昭和21年）1月9日：捕虜を解放され、上海から千葉県へ帰国。
1947年（昭和22年）11月28日：公職追放仮指定を受ける。
1959年（昭和34年）：日本ブラッドバンク取蹄役、東京プラント長に就任。10月、石井四郎の死去に伴い葬儀委員長を務める。
1986年（昭和61年）5月17日：死去。享年91歳。


北野政次の生涯は、軍医としての活動と、戦後の医療分野への貢献という二つの側面を持っています。特に731部隊での活動は、その功績と合わせて深く議論されるべき点でしょう。

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