高城胤吉

高城胤吉（たかぎ たねよし）

高城胤吉は、戦国時代に活躍した武将で、千葉氏の家臣として知られています。生年は文明16年（1484年）または文亀元年（1501年）とされていますが、確かな記録は残っていません。永禄8年（1565年）にこの世を去りました。下総国小金城（現在の千葉県松戸市）を居城とし、その周辺地域を支配しました。

生い立ちと出自

胤吉の出自については諸説ありますが、一般的には千葉氏の家老である原氏の分家で、その重臣であったとされています。父は高城胤忠と伝えられています。妻は千葉勝胤の娘（月菴桂林尼）で、子に高城胤辰がいます。

小金城の築城と勢力拡大

25歳の時、小金に根木内城を築いたとされています。永正14年（1517年）に原氏が足利義明に敗れて小弓城を失うと、胤吉は原氏の勢力下にあった小金栗ケ沢城に移り、原胤清を迎え入れました。当初は原氏の代官的な立場であったと考えられますが、後に小金を自身の拠点とし、大谷口城（小金城）を築城しました。

千葉氏、北条氏との関係

その後、千葉昌胤の信任を得て、その妹を正室に迎え、千葉宗家や北条氏との関係を強化しました。これにより、足利義明や里見氏に対抗する力を得ました。2度の国府台合戦では、いずれも北条方として参戦し、勝利に貢献しました。

地域支配と高城氏の基礎

これらの戦功により、葛飾郡東部一帯を支配下に置き、天文17年（1548年）には中山法華経寺に対し「守護不入」の証文を発給するなど、地元領主としての基盤を固めました。高城氏歴代当主の印が「胤吉」の名義が入った黒印であり、改刻してもなお家印として使用されたことから、胤吉が高城氏発展の基礎を築いたことがうかがえます。

北条氏との関係深化と上杉謙信への降伏

一方で、北条氏との両属的な関係が生じ、北条氏康からは相模国小園（現在の神奈川県厚木市）に所領を与えられました。また、江戸城城代の遠山綱景を通じて命令が出されるなど、北条氏の影響力が強まっていきました。永禄2年（1559年）に成立した『小田原衆所領役帳』には、高城氏は「他国衆」に組み入れられています。

永禄3年（1560年）からの長尾景虎（上杉謙信）の関東出兵の際には、一時景虎に降伏しました。翌永禄4年（1561年）に長尾氏（後の上杉氏）が作成した「関東幕注文」には、下総国の国衆として唯一「高城下野守」と記されています。しかし、景虎が越後国に帰国すると、再び北条氏に属しました。

死没とその後

永禄8年（1565年）に亡くなり、広徳寺に葬られました。法号は伝昭玄心です。子には高城氏を継いだ高城胤辰や、増上寺17世である照誉了学がいます。

脚注

松下邦男『小金城主高城氏の研究』（私家版）、1971年。
千野原靖方『戦国房総人名辞典』崙書房出版、2009年。ISBN 978-4-8455-1153-2。

関連項目

高城氏
小金城
* 行人台の戦い

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