千葉県立中央博物館

千葉県立中央博物館：房総の自然と歴史を体感する

千葉県立中央博物館は、千葉県千葉市中央区に位置する、自然史と歴史をテーマにした総合博物館です。特に、日本で唯一の「生態園」を併設している点が大きな特徴で、屋内外で多様な展示を楽しむことができます。

概要

博物館の常設展示は「房総の自然と人間」をテーマに、千葉県の自然史に重点を置いています。チバニアン、ナウマンゾウ、クジラの骨格標本など、目を引く展示物が多数あります。また、清澄山の照葉樹林や東京湾の干潟を再現したジオラマは、房総の自然をリアルに感じさせてくれます。

谷津田の生態系や伝統的な農村生活に関する展示も特徴的です。さらに、千葉県産の昆虫標本を収めた標本箱が壁一面に展示されており、生物分類の多様性を実感できます。人文分野の展示では、千葉県の歴史を概観できるほか、重要文化財のレプリカなども展示されています。

収蔵資料の中から特に重要な約100点は「中央博資料百選」として紹介されており、研究者によって選定された貴重な資料を閲覧できます。

歴史

1989年（平成元年）に開館した当館は、千葉県の県立博物館の中核施設として位置づけられています。初代館長には、植物生態学者の沼田眞氏が就任し、学問的な視点に基づいた博物館運営を目指しました。当時、行政主導ではなく、学術的な論理を重視した博物館建設は異例でしたが、沼田眞氏の実弟である当時の千葉県知事の尽力により実現しました。

博物館の設立には、沼田眞氏が長年会長を務めた千葉県生物学会の研究活動が大きく貢献しました。学会からの自然史博物館建設の要望と、会員による長年の資料収集活動が実を結んだのです。

開館当初から、学術界のリーダーである館長が指揮をとり、若手研究者を積極的に採用する体制がとられました。この方式は、その後の多くの県立博物館のモデルとなり、兵庫県立人と自然の博物館や滋賀県立琵琶湖博物館などが、この影響を受けています。

調査研究

1992年（平成4年）には、房総の生物相の起源を調査するため、北マリアナ諸島への調査団を派遣しました。その結果、多くの新種の動植物を発見し、房総との関連を裏付ける成果を上げました。

また、当館の研究員が日本産のハネカクシに1000の新種が存在することを明らかにしたほか、2008年（平成20年）には、朝倉彰氏がアジア人として初めて国際甲殻類学会会長に選ばれるなど、研究活動も活発です。

「分類学の父」として知られるカール・フォン・リンネの直筆学位論文など5,397点の資料も収蔵し、特別展「リンネと博物学」を開催するなど、研究成果を積極的に発信しています。

施設

博物館は、日本設計によって設計され、敷地面積13,178平方メートル、延床面積15,253平方メートルを誇ります。1989年には、第2回千葉市優秀建築賞を受賞しました。

館内は1階と2階に分かれており、多様な展示物を観覧できます。

生態園

生態園は、自然の中での生物の暮らしぶりを展示する野外博物館です。約6.6ヘクタールの広大な敷地には、千葉県の代表的な自然が再現されています。植物群落園、生態実験園、植物分類園、舟田池などで構成されており、様々な動植物を身近に観察できます。

植物群落園は、「南総の自然」と「北総の自然」の2つに分かれています。南総の自然では、海岸植生、岩石観察地、照葉樹林、山地性植生を観察できます。北総の自然では、アカマツ林、ススキ草地、シラカシ林、イヌシデ・コナラ林、マダケ林、湿原などを観察できます。

生態実験園では、土、水、温度が生物に与える影響を調査する実験を公開しています。植物分類園では、ブナ科、クスノキ科の植物を全国から集めています。

舟田池は、江戸時代から存在したため池で、現在は野鳥の生息地となっています。池のほとりには野鳥観察舎があり、望遠鏡で野鳥を観察することができます。

分館

1999年（平成11年）には、海の博物館が勝浦市に開館しました。また、大利根博物館と総南博物館がそれぞれ、大利根分館と大多喜城分館として中央博物館の分館となりました。

施設情報

基本情報

入館料：常設展は一般300円、高・大学生150円。企画展開催中は一般500円、高・大学生250円（生態園は無料）。中学生以下、65歳以上、障害者手帳所持者は無料。

バリアフリー

館内はバリアフリー化されており、車椅子での利用も考慮されています。車椅子対応トイレも各所に設置されています。

交通

電車：京成電鉄千葉寺駅から徒歩約20分
バス：JR千葉駅、京成千葉駅からバスで約15分～20分。「中央博物館」または「博物館・文化ホール」下車。

自動車：高速道路松ヶ丘インターチェンジから約5分。青葉の森公園北口駐車場を利用。

周辺施設

青葉の森公園芸術文化ホール、青葉の森公園スポーツプラザ、千葉寺、千葉県立中央図書館、千葉大学医学部附属病院、千葉県文化会館、千葉市立郷土博物館などが周辺にあります。

まとめ

千葉県立中央博物館は、房総の自然と歴史を深く知ることができる総合博物館です。生態園での自然体験や、充実した展示物を通じて、千葉県の魅力を再発見できるでしょう。ぜひ一度、足を運んでみてください。

もう一度検索