千葉胤直

千葉胤直の生涯

千葉胤直（ちば たねなお）は、室町時代中期に活躍した武将で、守護大名です。千葉氏の第16代当主であり、父は第15代当主の千葉兼胤、母は上杉禅秀の娘です。

若年期と家督相続

正長元年（1428年）には高野山を参詣し、蓮花三昧院と師檀の契約を結び、下総・上総の参詣者の宿坊と定めたという伝承が残っています。永享2年（1430年）に父の死により家督を継ぎました。

鎌倉公方との対立

当時の鎌倉公方であった足利持氏が、室町幕府からの自立を画策すると、胤直は関東管領の上杉憲実とともにこれを諌めました。しかし、永享10年（1438年）に持氏が憲実討伐を計画すると、胤直は鎌倉軍に属しました（永享の乱）。武蔵高安寺において幕府軍の出動を知ると、胤直は憲実との和議を主張し、継戦を唱える簗田満助らと対立しました。持氏が満助の意見を採用したため、胤直は陣を退き下総市河に移りました。その後、憲実側に属し持氏を攻め、翌年、上杉持朝とともに鎌倉永安寺に幽閉されていた持氏を討ちました。

結城合戦と出家

直後の結城合戦では、幕府軍に属して結城城を攻めました。嘉吉元年（1441年）には憲実と共に出家し、家督を嫡男の胤将に譲りました。

足利成氏との対立と一族の内紛

持氏の遺児である足利成氏が鎌倉公方として復帰すると、胤直は胤将と共にこれを支えました。享徳3年（1454年）に胤将が急死すると、幼い次男の胤宣が千葉氏を継ぐことになり、胤直が後見人となりました。しかし、成氏が再び上杉氏討伐を企てたため、胤直は上杉氏に味方し成氏と対立しました（享徳の乱）。康正元年（1455年）には、室町幕府8代将軍の足利義政から、胤直・胤賢父子が成氏に組せず、幕府に忠誠を尽くしていることを賞する御内書が出されています。

しかし、かねてから親上杉派である胤直に不満を抱いていた叔父の馬加康胤と重臣の原胤房が連合して胤直を攻撃しました。胤直・胤宣父子は千田庄多胡に逃れて防戦しましたが、同年8月12日に胤宣が自刃し、胤直も3日後の15日に自刃して果てました。援軍に駆けつけた常陸国の大掾頼幹（妙充）もこの時自害しています。これにより、家督は康胤に奪われ、千葉氏宗家は滅亡しました。

千葉氏の分裂

胤直の死後、千葉氏は衰退へと向かいます。9月7日には弟の胤賢も討たれましたが、甥の実胤・自胤兄弟は康正2年（1456年）に武蔵まで落ち延びました。彼らは幕府奉公衆の東常縁と扇谷上杉家家宰の太田道灌の支援を受けて、康胤とその子孫と対峙することになり、武蔵千葉氏と下総千葉氏に分裂することになります。

まとめ

千葉胤直は、激動の室町時代中期に生きた武将であり、守護大名です。鎌倉公方との対立、一族の内紛など、数々の困難に直面し、その生涯は波乱に満ちたものでした。彼の死後、千葉氏は分裂し、衰退していくことになりました。

脚注

東京大学史料編纂所 大日本史料データベース

参考文献

石橋一展「室町期千葉氏に関する覚書き―胤直期を中心に―」（佐藤博信編『千葉大学人文社会科学研究科プロジェクト報告書162号中世東国史の総合的研究』千葉大学大学院人文社会科学研究科、2010年）
石橋一展「室町期下総千葉氏の動向―兼胤・胤直・胤将―」（『千葉史学』66号、2015年）

外部リンク

千葉氏の一族

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