南岳

南岳（みなみだけ）

南岳は、長野県松本市と岐阜県高山市にまたがる飛騨山脈南部に位置する標高3,033mの山です。中部山岳国立公園に指定されており、その雄大な景観は多くの登山者を魅了しています。槍ヶ岳と穂高岳という名峰に挟まれた稜線上にあり、これらの山々に付属する山として見なされることもあります。

概要

南岳は3,000mを超える高峰ですが、槍ヶ岳や穂高岳と比較すると、独立した山としてよりも、これらの山々の稜線上にある一峰として認識されることが多いです。そのため、日本百名山のようなリストには含まれていません。山頂には、三等三角点「北穂高」が設置されています。この山の名称は、1909年に鵜殿正雄によって、槍ヶ岳から穂高岳に伸びる尾根の南端に位置することから「南岳」と名付けられました。

登山

南岳への主な登山ルートは、以下の通りです。

槍ヶ岳からの縦走ルート

槍ヶ岳から南岳へは、以下のルートで縦走できます。

槍ヶ岳 → 槍ヶ岳山荘 → 飛騨乗越 → 大喰岳 → 中岳 → 天狗原分岐 → 南岳

槍ヶ岳へは、上高地からの槍沢ルート、新穂高温泉からの飛騨沢ルート、表銀座、裏銀座、西銀座ダイヤモンドコースなど、様々な方面からの登山道が整備されています。また、槍沢の途中から天狗原を経由し、横尾尾根を通り、南岳のすぐ北で主稜線に合流するルートも人気があります。このルートには、急勾配の危険箇所に鎖が設置されています。

穂高岳からの縦走ルート

穂高岳から南岳へは、大キレットと呼ばれる非常に険しい岩稜帯を通過するルートです。

奥穂高岳 → 穂高岳山荘 → 涸沢岳 → 北穂高岳 → 大キレット（飛騨泣き - 長谷川ピーク - 最低コル2,748m - 獅子鼻） → 南岳小屋 → 南岳

大キレットは、登山者にとって難易度の高いコースとして知られており、慎重な行動が求められます。南岳の南端に位置する獅子鼻は、北穂高岳、滝谷、大キレットなどを一望できる展望台となっています。

南岳新道からのルート

新穂高温泉から南岳へは、南岳新道と呼ばれるルートがあります。

新穂高温泉 → 穂高平避難小屋 → 白出沢出合 → 滝谷出合 → 槍平小屋 → 西側尾根 → 南岳小屋 → 南岳

南岳新道は、槍平小屋から南岳小屋まで直接登る急勾配のルートで、危険箇所にはハシゴや鎖が設置されています。

周辺の山小屋

南岳周辺には、以下の山小屋があります。

南岳小屋: 山頂の南約200mに位置する最寄りの山小屋です。ライブカメラが設置されており、山の状況をリアルタイムで確認できます。1961年に営林署の「南岳避難小屋」として建設され、1986年に民営の山小屋「南岳小屋」となりました。

地理

南岳は飛騨山脈の主稜線に位置しています。山頂のすぐ北から東に横尾尾根が、南からも東に東尾根が伸びています。両方の尾根の間には圏谷（カール）地形が見られます。

源流の河川

南岳を源流とする河川は、日本海に流れ込んでいます。

横尾谷（梓川の支流）
蒲田川の南沢（高原川の支流）

南岳の風景

南岳からは、槍ヶ岳や穂高岳をはじめとする北アルプスの山々の雄大な景色を望むことができます。特に、大キレットの岩稜帯や、獅子鼻からの眺めは圧巻です。

関連図書

『3000m峰21座ルートガイド』学習研究社、2007年9月。ISBN 9784054033955。
『槍・穂高連峰』山と溪谷社〈ヤマケイ アルペンガイド7〉、2008年5月。ISBN 9784635013512。
『改訂新版 岐阜県の山』山と溪谷社〈新・分県登山ガイド 改訂版20〉、2009年12月、pp.70-71頁。ISBN 9784635023702。
『中高年のための日本の三千メートル峰』ペガサス、2010年5月。ISBN 9784893320582。

関連項目

飛騨山脈(北アルプス)
中部山岳国立公園
大キレット
日本の山一覧 (高さ順)・第17位
日本の山一覧 (3000m峰)
* 南岳（同名の山）

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