南紀熊野ジオパーク

南紀熊野ジオパーク

南紀熊野ジオパークは、和歌山県南部の9市町村と奈良県吉野郡十津川村の一部にまたがる広大なエリアに位置するジオパークです。2014年8月に日本ジオパークとして認定されました。この地域は、「プレートの沈み込みが生み出した3つの大地の物語」をテーマとしており、地球のダイナミックな活動によって形成された独特な地形と、その恵みを受けた豊かな自然環境が特徴です。

ジオパークの概要

南紀熊野ジオパークは、太平洋プレートの沈み込みによって形成された付加体、その上に堆積した前弧海盆堆積体、そして約1500年前の火山活動によって形成された火成岩体という、3つの異なる地質構造が複雑に組み合わさっています。これらの地層は、紀伊半島の隆起と浸食によって削られ、現在の独特な景観を作り出しています。

また、大塔山を源とする古座川流域は、温暖多雨な気候と急峻な地形が組み合わさり、キイイトラッキョウやキノクニスズカケといった紀伊半島固有の植物が生育する貴重な場所です。古座川の一枚岩に代表される「古座川弧状岩脈」は、その特異な形状で訪れる人々を魅了します。

南紀熊野ジオパークは、ユネスコ世界ジオパークへの登録を目指していますが、2022年の日本ジオパーク委員会では、世界文化遺産の紀伊山地の霊場と参詣道やラムサール条約登録地の串本との相乗効果が十分に発揮されていないとの理由から、国内推薦が見送られました。しかし、地域資源を活かした持続可能な開発を推進し、世界ジオパークへの登録に向けて活動を続けています。

沿革

2014年8月28日：日本ジオパークとして認定
2019年1月18日：日本ジオパークとして再認定
2019年7月27日：拠点施設「南紀熊野ジオパークセンター」が串本町にオープン
2022年9月28日：ユネスコ世界ジオパークの国内推薦見送り（日本ジオパークは再認定）

主なジオサイト

エリア内には107か所のジオサイトが設定されており、それぞれが異なる魅力を持っています。以下はその一部です。

フェニックス褶曲（別名：天鳥の褶曲）：地層が大きく曲がりくねった様子が見られる場所。
北山峡:切り立った峡谷が続く景勝地。
古座川の一枚岩:国の天然記念物に指定されている巨大な一枚岩。
橋杭岩: 串本町沖に並ぶ奇岩群で、国の名勝および天然記念物。
那智の滝: 日本三大名瀑の一つで、国の名勝。
神倉山のゴトビキ岩: 神倉神社の御神体である巨岩。
円月島、千畳敷、三段壁: 海蝕によって形成された景勝地で、3か所まとめて国の名勝に指定。
梶取崎:リアス式海岸の先端。
樫野埼灯台:国の登録有形文化財に指定された歴史的な灯台。

関連施設

2019年7月には、南紀熊野ジオパークの拠点施設として「和歌山県立南紀熊野ジオパークセンター」がオープンしました。ここでは、紀伊半島の地形の成り立ちを模型やプロジェクションマッピングで学ぶことができ、ジオパークの魅力をより深く理解することができます。

所在地：和歌山県東牟婁郡串本町潮岬2838-3

関係自治体

南紀熊野ジオパークは、以下の自治体によって構成されています。

和歌山県
新宮市
西牟婁郡上富田町
西牟婁郡白浜町
西牟婁郡すさみ町
東牟婁郡串本町
東牟婁郡古座川町
東牟婁郡那智勝浦町
東牟婁郡太地町
東牟婁郡北山村

奈良県
* 吉野郡十津川村（一部地域）

まとめ

南紀熊野ジオパークは、地球の活動によって形成された特異な地形と、その恵みを受けた多様な自然環境が共存する魅力的な場所です。ジオパークを訪れることで、地球のダイナミックな歴史を学び、自然の美しさを体感することができます。今後の世界ジオパーク登録に向けた活動にも注目が集まります。

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