南陽市 (河南省)

南陽市（なんようし）

南陽市は、中華人民共和国河南省の西南部に位置する地級市です。漢水の支流である白河の西岸に位置し、肥沃な土地が広がっています。

地勢・産業

南陽市は、農業が盛んであり、特に小麦やトウモロコシなどの穀物生産が重要です。また、農業機械の生産拠点でもあり、地域経済を支えています。綿織物や絹織物などの繊維産業も発展しており、伝統的な技術が受け継がれています。

南陽市の位置は、河南省の省都である鄭州から約220キロメートル北東、湖北省の武漢からは約320キロメートル南東に位置しています。この地理的な条件から、南北を結ぶ交通の要衝としても重要な役割を果たしています。

歴史

南陽市の歴史は古く、春秋時代には楚の国の都市「宛」として知られ、金属工業が栄えました。秦の時代には南陽郡が設置され、前漢時代には経済・文化の中心地として発展しました。

後漢を興した光武帝（劉秀）は、南陽周辺の南陽盆地を拠点として勢力を拡大しました。後漢時代には、南陽郡は人口が52万戸を数え、全国で最も人口が多い地域となりました。この頃から、南陽は中国の経済・文化の中心地の一つとして重要な地位を占めるようになります。

また、南陽は科学や文化の面でも貢献しています。古代中国の科学者であり、地震計を発明したとされる張衡は南陽の出身です。

行政区画

南陽市は、2つの市轄区、1つの県級市、10の県を管轄しています。

市轄区: 臥竜区、宛城区
県級市: 鄧州市
県: 淅川県、内郷県、社旗県、南召県、西峡県、唐河県、新野県、鎮平県、桐柏県、方城県

年表（一部抜粋）

1949年：南陽専区成立（1市12県）
1953年：南陽鎮が市制施行し、南陽市となる
1969年：南陽専区が南陽地区に改称
1988年：鄧県が市制施行し、鄧州市となる
1994年：南陽地区が地級市の南陽市に昇格

人口

南陽市は、中国国内でも珍しい人口1000万人を超える大規模な地級市であり、河南省内で最も多い人口を抱えています。肥沃な盆地と河川、温暖な気候に恵まれ、災害が少ないことから、古くから人々が暮らしてきました。2017年末の時点で、総人口は約1194万人、常住人口は約1005万人です。

観光

南陽市には、豊かな歴史と文化を反映した多くの観光スポットがあります。

武侯祠: 三国時代の蜀の政治家・軍師である諸葛亮（孔明）を祀る廟。
漢画館: 漢代の壁画や石刻画を展示する博物館。
白河遊覧区: 白河沿いの美しい自然景観を楽しめるエリア。
独山森林公園: 自然豊かな森林公園。

交通

南陽市は、鉄道、道路、航空の交通網が整備されています。

空港: 南陽姜営空港
鉄道: 南陽駅（焦柳線、寧西線）、南陽東駅（鄭渝高速鉄道）
道路: G312国道、滬陝高速道路（G40）、二広高速道路（G55）

出身者

南陽市は、多くの著名な人物を輩出しています。

范蠡（春秋時代の政治家、軍事家）
張衡（後漢時代の科学者、文学者）
張仲景（後漢時代の医学者）
岑参（唐代の詩人）

姉妹都市

南陽市（日本・山形県）

南陽市は、歴史、文化、自然が豊かな都市であり、中国の重要な地域の一つとして発展を続けています。

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