原保太郎

原保太郎

原保太郎（はら やすたろう）は、1847年8月11日（弘化4年7月1日）に生まれ、1936年（昭和11年）11月2日に没した、幕末の園部藩士であり、明治時代には官僚、政治家として活躍した人物です。また、神道無念流の剣客としても知られ、練兵館塾頭を務めた経歴を持ちます。

生涯

原は園部藩士・原官次の三男として誕生しました。剣術の腕を磨くために江戸の練兵館で修行し、塾頭にまで上り詰めました。しかし、園部藩を脱藩し京都へ上り、慶応3年（1867年）には岩倉具視の食客となります。戊辰戦争では、東山道総督に随行し、上野国巡察使兼軍監として従軍しました。この際、江戸幕府の元勘定奉行であった小栗忠順とその家来3名を捕らえ、斬首に処したとされています。原がなぜ問答無用で斬首を強行したのかは定かではありません。当時、彼は22歳という若さであり、総督府の命令であったとも、功を焦った浅慮な行動であったとも言われています。後に原自身が「小栗は自分が斬った」と語っていますが、安中藩の徒目付であった浅田五郎作が斬ったという説も存在します。

明治4年（1871年）にはアメリカ合衆国へ留学し、ラトガース大学で学びました。その後、1874年ごろにはイギリスへ渡り、原六郎と共にキングス・カレッジ・ロンドンで経済学などを修め、1876年に帰国しました。

帰国後、原は兵庫県少書記、同県大書記官などを歴任し、1881年には第三代山口県令に就任しました。1895年3月には、日[[清戦争]]の下関講和会議中に清国大使・李鴻章が狙撃される事件が発生し、その責任を取る形で知事を辞任します。しかし、同年7月には福島県知事に任命され復帰、その後、北海道庁長官、農商務省山林局長兼林野整理局長などの要職を歴任しました。

1903年7月15日、原は貴族院議員に勅選され、同和会に所属し、その生涯を終えるまで在任しました。1905年9月1日には錦鶏間祗候となります。また、維新史料編纂会員なども務めました。昭和11年11月2日、原は亡くなり、墓所は品川区の海晏寺にあります。

栄典

原は生前、数々の位階と勲章を授与されました。位階としては、1886年（明治19年）11月16日に正五位、1890年（明治23年）11月1日に従四位、1897年（明治30年）12月24日に正四位を授与されています。勲章としては、1889年（明治22年）11月29日に大日本帝国憲法発布記念章、1892年（明治25年）12月29日に勲四等瑞宝章、1899年（明治32年）12月27日に勲三等瑞宝章を授与されました。

また、外国勲章佩用允許として、1885年（明治18年）6月16日にハワイ王国から王冠勲章ナイトグランドオフィシル、1892年（明治25年）4月19日には王冠第一等勲章を授与されています。

親族

原の親族には、父に園部藩士の原宮次がいます。妻には築地精養軒創業者・北村家の娘であるうめ（1855年生）がおり、長女の笠井シツ（1880年生）は小野田セメント製造社長・笠井真三の妻、三女の斎藤キク（1883年生）は海軍中将・斎藤半六の妻となりました。長男は原鴻太郎（1888年生）、二男は東京帝国大学工学部を卒業し、飛行機開発やラジオ製造に携わった原愛次郎（1890年生）、三男は陸軍大佐（航空兵）として戦死した原敬三郎（1895年生）がいます。また、庶子として北門銀行頭取・長友比佐吉の養女となった長友順子（1911年生）がいます。


原保太郎は、幕末から明治にかけて激動の時代を駆け抜け、剣客、官僚、政治家として多岐にわたる活躍を見せた人物でした。

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