中華民国鉄道文化協会

中華民国鉄道文化協会（RCS）について

中華民国鉄道文化協会（繁体字中国語: 中華民國鐵道文化協會、英語: Railway Cultural Society, Taiwan/略称:RCS）は、台湾の鉄道愛好家によって設立された、鉄道研究を目的とする非政府組織（NGO）かつ非営利団体（NPO）です。1995年に台北市で正式に設立され、台湾の鉄道文化の保存と発展に尽力しています。

RCSは、観光保存鉄道の国際組織「WATTRAIN (World Association of Tourst Trams and Trains)」の正式会員であり、アジア太平洋地域の保存鉄道協力組織「APHTRO（Asia Pacific Heritage and Tourist Rail Organization）」の台湾代表も務めています。これらの国際的なネットワークを通じて、世界の鉄道文化保護活動とも連携しています。

協会の歴史

協会の起源は、1988年6月9日（台湾の鉄道の日）に国立交通大学の鉄道ファンが、台湾の鉄道史研究を目的として設立した鉄道研究会に遡ります。この研究会は、大学内外の鉄道愛好家を結集し、活動を展開しました。その後、鉄道愛好家の集まりから、鉄道文化の保存と発展を重視する団体へと発展し、1995年に内政部に正式な非政府組織として登録されました。1996年10月22日に正式に設立され（内政部登録番号第8435746号）、活動を開始しました。

設立当初は台北県淡水鎮に本部を置いていましたが、2011年以降は高雄市鼓山区の旧高雄港駅（現在の旧打狗駅故事館内）に移転しました。さらに2021年8月には組織を社団法人として改編し、拠点を台中市に移転しました。

主な活動内容

RCSは、設立以来、鉄道文化遺産の保存活動を継続的に行い、数々のイベントを開催・共催しています。特に以下の活動が注目されます。

台中駅旧駅舎保存運動：1990年代、当時の台湾省省長が台中駅の旧駅舎の撤去・移設を推進した際、RCSは他の団体と協力して「全台大串連保存運動」を展開しました。この運動は、台湾全土で駅舎の保存を求める市民の声を高め、最終的に総統の李登輝が方針を撤回する声明を出すに至りました。これにより、新竹・台中・台南・高雄などの駅舎が国定古蹟として指定され、保存が決定しました。
彰化扇形車庫の保存：台湾鉄道局がかつて保有していた多くの扇形車庫が都市開発により消失していく中、RCSは彰化扇形車庫の保存を訴えました。粘り強い活動の結果、台鉄が車庫を保存することになり、2000年には県定古蹟に指定されました。
旧山線の再開業：苗栗県と台中市を結ぶ旧台中線が新ルートに切り替えられた後、RCSは旧路線の保存を訴えました。その結果、旧山線は2010年6月5日に再開業しました。
高雄駅駅舎の保存と移設：高雄駅の駅舎が地下化工事に伴い廃止される予定だった際、RCSは駅舎の保存運動を展開しました。その結果、駅舎は数10メートル移動され、高雄鉄路地下化展示館/願景館として開館し、RCSが運営を委託されています。
高雄港駅の保存と活用：同じく地下化に伴い廃止される予定だった高雄港駅の保存を高雄市に要請し、市指定の古蹟となりました。現在、旧打狗駅故事館として一般公開されており、RCSが運営を委託されています。構内には、蒸気機関車や貨車なども展示されています。
台北機廠の保存：RCSは、台北市内の台湾鉄道管理局の車両工場だった台北機廠の再開発計画に反対し、保存運動を展開しました。その結果、工場全体が国定古蹟に指定され、鉄道博物館としての活用が決定しました。
イベント開催：鉄道記念日や協会の周年記念イベントなど、様々な特別列車を運行しています。これらのイベントでは、台湾各地の鉄道遺産を巡るツアーや鉄道ファン向けの企画が行われています。具体的には「光華三十」活動やRCS設立10周年記念号の運行などがあります。
出版活動：機関誌「鐵道情報」を発行しており、台湾の鉄道に関する最新情報や研究成果を提供しています。また、書籍やカレンダーなども出版しています。

受賞歴

RCSの活動は、国内外から高く評価されています。

機関誌「鐵道情報」：行政院新聞局主催の金鼎獎（ゴールデン・トライポッド・アワード）で最優秀大衆科学雑誌に選定されました。
旧打狗駅故事館/哈瑪星鉄道文化園区：ネイションズ・イン・ブルーム主催のリブコムアワード（建築プロジェクト部門）で金賞を受賞しました。
高雄鉄路地下化展示館：行政院から「政府服務品質獎」を受賞しました。

その他の情報

RCSは、台湾の鉄道文化を次世代に伝える重要な役割を担っています。
協会の活動は、台湾の鉄道ファンだけでなく、一般市民にも広く支持されています。
協会は、ウェブサイトやSNSを通じて、活動状況を発信しています。

RCSは、台湾の鉄道文化を保存・発展させるために、今後も積極的に活動を続けていくでしょう。

出典:

《台灣火車的故事》，ISBN：9571306568，洪致文，時報文化出版，1993。

関連項目:

旧打狗駅故事館
鉄道情報 (雑誌)
蘇昭旭 - 元理事で学者、作家
洪致文 - 会長歴任者で学者、作家
古庭維 - 元副会長、打狗鉄道故事館館長、鐵道情報総編集、作家
鉄道友の会
日本鉄道保存協会
鉄道ファン
台湾鉄道網(trc.net)
保存鉄道
産業遺産

外部リンク:

鐵道文化協會公式サイト
鐵道文化協會 Facebook
社團法人中華民國鐵道文化協會 Instagram
旧打狗駅故事館 Facebook
* 高雄鐵路地下化展示館 Facebook

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