古田晁

出版人・古田晁の生涯

古田晁（ふるた あきら）は、1906年1月13日に長野県東筑摩郡筑摩地村（現在の塩尻市）で生まれました。父は古田三四郎で、長男として育ちました。彼は、旧制松本中学（現在の長野県松本深志高等学校）を経て、旧制松本高等学校（現在の信州大学）文科甲類に進学しました。その後、1930年に東京帝国大学文学部倫理学科を卒業しています。

学生時代と評論活動

旧制中学時代には、後に文芸評論家となる臼井吉見や俳優の松本克平と、旧制高校時代には宝月圭吾とそれぞれ同級生でした。東京大学在学中には、矢島羊吉らとともに評論誌「現実へ」を発行するなど、学生時代から社会や文化に対する関心が高かったことが伺えます。

アメリカでの経験と出版への道

大学卒業後、古田晁は渡米し、父が経営するロサンゼルス・ヴェニスの日光商会に勤務しました。1938年に帰国後、1940年に臼井吉見、唐木順三、中村光夫を編集顧問として迎え、銀座の日光商会内に筑摩書房を創業しました。最初に手がけた出版物は『中野重治随筆集』でした。

筑摩書房の創設と発展

第二次世界大戦後、1946年に雑誌『展望』を創刊し、株式会社組織として初代社長に就任しました。筑摩書房は、戦後の出版界において重要な役割を果たし、多くの優れた書籍を世に送り出しました。古田晁は、1966年に会長に就任するまで、その経営手腕を発揮しました。1973年に急逝し、その生涯を閉じました。

死後

古田晁の故郷である塩尻市には、彼の業績を記念して、1996年に塩尻市立古田晁記念館が開館しました。また、2003年には『古田晁記念館資料集』（晒名昇編）が発行されています。

古田晁に関する書籍

古田晁の生涯や業績を振り返る書籍も多く出版されています。代表的なものとして、以下の書籍が挙げられます。

臼井吉見『蛙のうた ある編集者の回想』(筑摩書房、1965年) / 新版『臼井吉見集 2』(筑摩書房、1985年)
和田芳恵『筑摩書房の三十年』(筑摩選書、2011年)　※初刊は1970年に非売品として刊行。
『回想の古田晁』井上達三編(筑摩書房、1974年) ※非売品
『そのひと ある出版者の肖像』(径書房、1980年) ※改訂版、臼井吉見編。
野原一夫『含羞の人 回想の古田晁』(文藝春秋、1982年)
加藤勝代『わが心の出版人 角川源義・古田晁・臼井吉見』(河出書房新社、1988年)
塩澤実信『古田晁伝説』(河出書房新社、2003年)
『奇跡の出版人 古田晁伝』(東洋出版、2015年) ※改訂版
* 柏原成光『友 臼井吉見と古田晁と－出版に情熱を燃やした生涯』(紅書房、2013年)

その他

また、古田晁は、湯の花トンネル列車銃撃事件に遭遇したことでも知られています。

古田晁は、出版人としてだけでなく、その人柄や生き方においても多くの人々に影響を与えました。彼の情熱と信念は、今もなお、多くの人々に語り継がれています。

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