名胡桃城

名胡桃城（なぐるみじょう）

名胡桃城は、群馬県利根郡みなかみ町下津に位置する日本の城跡です。その歴史的価値から、1949年（昭和24年）に「名胡桃城址」として群馬県指定史跡に指定され、2017年（平成29年）には続日本100名城にも選定されました。

歴史

名胡桃城の築城は、室町時代の明応元年（1492年）に沼田氏が沼田城の支城として名胡桃館を築いたのが始まりと伝えられています。しかし、史料上で確認できるのは、天正7年（1579年）、武田勝頼が真田昌幸に命じ、後北条氏から沼田領を奪取するための前線基地として築城したのが最初です。真田昌幸は、小川可遊斎と共に名胡桃館を攻略し、隣接地に城を築きました。ここを足がかりに沼田城攻略を企て、調略によって沼田城を手に入れることに成功しました。

天正10年（1582年）の武田氏滅亡後、真田氏と後北条氏が沼田・吾妻領を巡って争いました。名胡桃城は、沼田城の支城として、北条氏の軍勢を退ける役割を果たしました。

名胡桃城事件

天正15年（1587年）、豊臣秀吉は惣無事令を発令し大名間の私闘を禁じました。沼田領は天正17年（1589年）に裁定が行われ、名胡桃城を含む3分の1を真田領、残りを北条領としました。しかし、同年11月3日、沼田城代の猪俣邦憲が、真田氏の家臣である中山九郎兵衛を寝返らせ、偽の書状で鈴木重則を上田城に呼び寄せ、その隙に名胡桃城を占領するという事件が起こりました。この事件は、豊臣秀吉による小田原征伐のきっかけとなりました。

秀吉は、この事件を重く見て北条氏を糾弾し、小田原征伐へと発展。後北条氏滅亡後、全沼田領は真田氏に安堵され、名胡桃城は廃城となりました。実際に使用されたのは約10年間でした。

構造

名胡桃城は、主要な郭が直線に並ぶ連郭式の山城で、両側が切り立った天然の要害となっています。発掘調査により、土塁址、三日月堀、虎口、通路、門礎石址、掘立柱建物址など、多くの遺構が確認されています。廃城後、ほとんど改変を受けていないため、築城当時の遺構が比較的良好に残されています。

現地情報

• - 所在地: 群馬県利根郡みなかみ町下津3437番地
• - アクセス:

- 関越自動車道月夜野インターチェンジより車で約6分
- 上越新幹線上毛高原駅またはJR上越線後閑駅からタクシーで約7分

城址は「名胡桃城趾」として整備されており、国道17号に面した入口には案内所があります。般若郭（名胡桃館跡）は駐車場として利用できます。本郭中央には、大正13年（1924年）に建立された『名胡桃城趾之碑』があります。

名胡桃城は、その歴史的背景と良好な遺構から、訪れる人に深い感銘を与える城跡です。

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