沼田氏

沼田氏（ぬまたし）

沼田氏は、日本各地に存在した氏族です。主な流れとして、相模沼田氏、上野沼田氏、若狭沼田氏、越中沼田氏などが知られています。

相模沼田氏: 相模国足柄上郡を本領とした藤原秀郷流波多野氏の一族。
上野沼田氏: 本姓は不詳で、上野国を本拠とした一族。
若狭沼田氏: 上野沼田氏の庶流で若狭国に土着した一族。沼田祐光を輩出。
越中沼田氏: 藤姓秀郷流波多野氏を称した一族。

上野沼田氏

本記事では、中世に上野国利根郡沼田（現在の群馬県沼田市）周辺を領有した武士の一族、上野沼田氏について詳しく解説します。居城は沼田城でした。

出自

上野沼田氏の先祖については諸説あり、はっきりしていません。『沼田町史』によれば、鎌倉時代に大友氏の一族である太郎実秀（大友能直の母方の叔父）が沼田氏を名乗ったとされています。その後、三浦氏系の沼田氏が入り、戦国時代まで続いたと伝えられています。

三浦氏系の沼田氏は、三浦泰村の次男である景泰が宝治合戦で自害せずに逃亡し、沼田氏の祖になったという説があります（『加沢記』）。

その他、『沼田町史』や『沼田市史』では有力視されていませんが、緒方氏説（『上毛故城塁記』）と山科氏説（『上毛沼田伝記』）も存在します。緒方氏説では緒方惟秀の子である惟泰を、山科氏説では鎌倉氏の一族である山科景正の子である景泰を沼田氏の先祖としています。

歴史

『吾妻鏡』に初めて沼田氏が登場するのは、文治元年（1185年）10月24日の頼朝随兵としての沼田太郎です。沼田太郎は建久元年（1190年）11月にも随兵として見られます。その後、沼田氏は和田合戦に参加しましたが、どちらの陣営に属したかは不明です。この戦いで沼田七郎・次郎が戦死したと記録されています。承久の乱では、幕府方として参加しました。

『沼田市史』によれば、鎌倉時代後期には大友氏が沼田を支配しており、大友一族が入っていたと考えられています。その後、三浦氏の後裔を自称する沼田氏が登場しました。

鎌倉時代末期以降の沼田氏は、元弘3年（1333年）の千早城・赤坂城攻めに鎌倉方として参加しています。結城合戦では、沼田荘を本領とする沼田上野三郎が上州白旗一揆の成員だったとされています。文明3年（1471年）5月30日には、沼田彦三郎の子が足利義政から感状を得ており、一揆構成員から独立した武家になっていたと考えられます。

享禄・天文年間には、沼田中務大輔顕泰が登場します。顕泰は享禄4年（1531年）に同族の発智氏と争っています。沼田城を築城し、幕岩城から移って居城としたとされています。山内上杉憲政が後北条氏に敗れると、沼田顕泰は彼を迎え入れ、越後国へ落ち延びさせました。しかし、隠居していた顕泰と当主である弥七郎（顕泰の次男または三男）との間で内紛が起こります。弥七郎が北条氏側につき、顕泰が上杉氏側についたため、家中が分裂したのです。この内紛は、弥七郎が顕泰によって討たれ、その顕泰も北条方の厩橋長野氏によって攻められ越後に逃亡したことで、沼田領を後北条氏が手に入れ、沼田氏が没落するという結末を迎えました。沼田氏の名跡は、永禄2年（1559年）8月以前に北条綱成の次男である北条康元が沼田城に入って継承しました。

しかし、永禄3年（1560年）に越後の上杉謙信が越山してくると、沼田康元は敗れ、沼田顕泰は復権し、上杉氏配下で沼田衆を率いる立場になりました。しかし、要衝である沼田城は上杉謙信家中の城代支配とされてしまいました。

その後、沼田城は御館の乱の混乱で後北条氏側に奪回され、次いで武田勝頼配下の真田昌幸によって調略されました。一方、沼田顕泰の子である平八郎景義は、後北条氏方となった由良氏について上野女淵城に復権していました。天正9年（1581年）には由良氏の支援を得て、武田方となった沼田城の奪還を図りました。しかし、景義は真田昌幸の意を受けた金子泰清によって沼田城で謀殺されてしまい、これによって沼田氏は滅亡しました。

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