呴犁湖単于

呴犁湖単于（こうりこ ぜんう）

呴犁湖単于は、前漢時代の匈奴の単于であり、紀元前102年に没しました。彼は伊稚斜単于の子で、烏維単于の弟にあたります。単于号はなく、呴犁湖は彼の名です。姓は攣鞮氏です。

生涯

伊稚斜単于の子として生まれた呴犁湖は、元封6年（紀元前105年）に兄の児単于が即位すると、右賢王となりました。

太初3年（紀元前102年）、児単于が病死した際、その子が幼かったため、呴犁湖が単于に選ばれました。彼の即位は、匈奴と漢の関係に新たな局面をもたらしました。

呴犁湖単于が即位すると、漢は匈奴への警戒を強め、光禄勲の徐自為に五原塞から数百里、遠い場合では千里余りの地点に城壁や物見櫓を築かせました。その範囲は臚朐にまで及びました。また、游撃将軍の韓説・長平侯衛伉をその近くに駐屯させ、強弩都尉の路博徳に命じて居延の沼地のほとりに砦を築かせました。これらの措置は、匈奴の侵入を防ぐためのものでした。

しかし、秋になると匈奴は大挙して定襄郡と雲中郡に侵入し、数千人の住民を殺害または連れ去り、2千石の高官数人を打ち破りました。さらに、徐自為が築いた砦や物見櫓を破壊しました。また、右賢王に命じて酒泉郡と張掖郡に侵入させ、数千人の住民を連れ去ろうとしましたが、漢の任文の援軍によって阻止され、住民を取り戻されました。これらの侵攻は、漢の防衛線を試すとともに、物資の略奪を目的としたものでした。

呴犁湖単于は、漢の弐師将軍李広利が大宛遠征から帰る途上を遮断しようとしましたが、間に合いませんでした。これは、漢の軍事力を削ぐための戦略的な試みでした。

その冬、呴犁湖単于は病死しました。彼の死後、弟である左大都尉の且鞮侯が単于の座を継ぎました。

参考資料

『史記』（匈奴列伝）
『漢書』（匈奴伝）

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