和勇

和勇（わ ゆう）は、生年不詳ながら1474年に没した、明代の軍人です。元々は脱脱孛羅（トクト・ボロ）という名前で、モンゴルアスト部の出身です。彼は北元の和寧王アルクタイの孫にあたります。

生涯

1434年（宣徳9年）、和勇の祖父であるアルクタイがオイラトのトゴンによって殺害されると、父の阿卜只俺（アブチ・オン）は明に帰順しました。宣徳帝は阿卜只俺を左都督に任命し、北京に邸を与えました。しかし、翌1435年（宣徳10年）に阿卜只俺が亡くなると、脱脱孛羅が指揮使の職を継ぎ、錦衣衛から俸給を受けるようになりました。1453年（景泰4年）には前軍都督僉事に昇進しました。

1457年（天順元年）、脱脱孛羅は都督同知に進み、この時に和勇という姓名を賜りました。当時、両広地方では瑤族の反乱が頻発しており、和勇は游撃将軍として、モンゴル人の降兵1000人を率いて鎮圧に派遣されました。しかし、総兵の顔彪（がん ひょう）には軍略がなく、反乱の勢いは増すばかりでした。さらに、広西巡撫の呉禎（ご てい）が降兵を殺して手柄と偽り、賞与を得たことに倣い、顔彪も平民を殺して勝利を報告するという不正を行いました。1463年（天順7年）、朝廷は顔彪の官位を進め、和勇も右都督に昇進しましたが、1464年（天順8年）には反乱討伐の実態がないことが発覚し、御史や給事中たちが顔彪らを弾劾しました。その結果、和勇は俸給を停止され、役職を降格されました。

1465年（成化元年）、趙輔（ちょう ほ）と韓雍（かん よう）が大藤峡の反乱軍征討に出陣すると、和勇は部下を率いてこれに従軍しました。その冬、反乱軍を破った功績により、和勇は左都督に昇進しました。1467年（成化3年）には召還されて効勇営での訓練を監督しました。この際、和勇は大藤峡の戦いでの自身の功績が趙輔と同等であると訴え、封爵を求めました。1469年（成化5年）6月、その功績が認められ、靖安伯に封じられました。1474年（成化10年）2月、和勇は亡くなりました。諡は武敏とされました。

和勇の子である和忠（わ ちゅう）は、父の跡を継ぎ錦衣衛指揮使となりました。

脚注

なし

参考文献

* 『明史』巻156 列伝第44

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