四人将棋

四人将棋：4人で楽しむ将棋の変則ルール

四人将棋は、標準的な将棋盤を用いて4人のプレイヤーが対戦する、将棋をアレンジしたボードゲームです。通常の将棋とは異なるルールと戦略が特徴で、奥深いゲーム性と独自の面白さを持ち合わせています。

ルール概要

盤面: 縦横9マス、計81マスの標準的な将棋盤を使用します。
駒: 各プレイヤーは、玉将1枚、飛車1枚、金将2枚、銀将2枚、歩兵3枚の計9枚の駒でゲームを開始します。桂馬、香車、角行は使用しません。駒の動きは本将棋と同じですが、王将と金将以外の駒は敵陣（対面の陣地三段目以内）に入ると「成駒」になります。
初期配置: 図1（本文参照）のように駒を配置します。ゲームには玉将と飛車が4枚、金将と銀将が8枚ずつ必要となるため、通常は2セットの将棋の駒が必要になります。
手番: 手番は時計回りに移りますが、王手がかかった場合は王手をかけられたプレイヤーに手番が移ります。
多重王手: 一度に複数の相手プレイヤーに王手を掛けることが可能です。2人に同時に王手を掛けることを「双王手」、3人に同時に王手を掛けることを「三王手」といいます。多重王手の場合は、王手されたプレイヤーのうち、指し手から時計回りに最も近いプレイヤーから手番となります。
駒の捕獲: 自分の駒を動かす際に、移動先に相手の駒があればその駒を捕獲し、自分の持ち駒とします。持ち駒は自分の手番に1つだけ盤上に置くことができます。
詰み: 玉将が詰まると負けとなり、玉将を裏返します。この裏返された玉将は「裏王」と呼ばれ、誰も動かせない障害物として盤上に残り、他の駒はこれを避けて動かなければなりません。詰まされたプレイヤーの持ち駒は詰ませたプレイヤーの持ち駒となり、盤上に残った駒は他のプレイヤーに取られます。
持ち駒の制限: 裏王の1マス前に持ち駒の歩を打つことは禁止です（既に盤上にある歩をそこに進めるのは問題ありません）。
禁止事項: 本将棋と同様に、二歩、打ち歩詰め、行き所のない駒（例えば、歩を敵陣の最後列に打つこと）は禁止です。
ゲーム形式: シングルスとダブルスの2種類のゲーム形式があります。シングルスでは4人全員が敵同士で、最後まで詰まされなかったプレイヤーが勝利します（ただし、現在は2人敗退で終了となるルールが一般的です）。ダブルスでは向かい合ったプレイヤー同士がペアを組み、どちらか一方が詰まされると試合終了となります。ダブルスでは、ペアの相手に王手をしても無視して続行する場合と、王手を禁止する場合があります。ペア内での王手を禁止する場合は、自分の玉がペアの駒の利き筋に進入することも認められません。

歴史とバリエーション

四人将棋は1993年、島根県平田市（現出雲市）の市役所職員によって考案されました。当時、市長の高い将棋の腕前に職員が苦戦したことがきっかけだったと言われています。その後、『四人将棋入門』などの書籍が出版され、将棋会館でも四人将棋セットが販売されるなど、一定の普及を遂げました。スーパーファミコン用ソフト『4人将棋』も発売され、そのソフトでは2人敗退でゲームが終了するルールが採用されています。

漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』やテレビ番組『四神将棋』などでも、独自のルールで四人将棋が紹介されています。これらのバリエーションでは、初期配置や盤面のサイズ、ルールなどが異なる場合があります。例えば『四神将棋』では、盤面が拡張され、より戦略的なゲーム展開が可能となっています。

まとめ

四人将棋は、通常の将棋をベースにしながらも、4人対戦という独自のルールによって、全く異なる戦略と駆け引きが楽しめるゲームです。多重王手や持ち駒、裏王といった要素が複雑さを増し、戦略的な深みを生み出しています。様々なバリエーションも存在し、それぞれのルールで独自の楽しみ方ができるのも魅力の一つです。

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