四国まんなか千年ものがたり

四国まんなか千年ものがたり：歴史と絶景を巡る「大人の遊山」

四国まんなか千年ものがたりは、JR四国が運行する、多度津駅から大歩危駅を結ぶ観光列車です。この列車は、四国の中央部を走り、沿線には善通寺や金刀比羅宮、祖谷といった、千年の歴史を持つ文化的な場所が点在しています。

コンセプトは「大人の遊山」

「四国まんなか千年ものがたり」のコンセプトは「大人の遊山」です。かつて、徳島の子どもたちが弁当を持って野山へ出かける「遊山」という風習がありました。この列車は、その「遊山」を現代風にアレンジし、気軽に楽しめる列車旅として提供しています。

車内は「日本のたたずまい」をコンセプトに、和のインテリアで統一されています。香川県や徳島県の地元食材を使用した食事が提供され、アテンダントによる観光案内やおもてなしも受けられます。車窓からは、吉野川や大歩危・小歩危の渓谷美を堪能できます。

運行区間と選定理由

多度津駅 - 大歩危駅間が運行区間に選ばれた理由は、伊予灘ものがたりが「海」をテーマとしていたため、次の観光列車は「山」「川」をテーマにしたいという考えがあったからです。また、阿波池田駅 - 大歩危駅間では、以前からトロッコ列車が運行されており、リニューアルによって利用客が増加したことも、この区間が選ばれた理由の一つです。さらに、運行区間が香川県と徳島県の観光圏に隣接しており、新たな旅行需要の創出が期待されたことも要因です。

この列車は、2017年に日経優秀製品・サービス賞（日経MJ賞）の最優秀賞を受賞しました。運行開始から2年後の2019年時点では、平均乗車率が9割を超える人気を誇っています。

運行状況

通常、毎週金曜日、土曜日、日曜日と祝日に、多度津駅 - 大歩危駅間で1往復運行されます。午前中に運行する下り列車は「そらの郷紀行」、午後に運行する上り列車は「しあわせの郷紀行」という愛称で呼ばれています。

「そらの郷紀行」は、徳島西部の山岳地帯の集落とその暮らしをイメージしたもので、「しあわせの郷紀行」は、金刀比羅宮のキャッチフレーズや讃岐の里山のイメージから名付けられました。

全席グリーン車指定席で、乗車券のほかに特急券と指定席グリーン券が必要です。特急券と指定席グリーン券は、琴平駅 - 大歩危駅間を含むことが発売の条件です。多度津駅 - 琴平駅間のみの利用はできません。また、特急料金の乗り継ぎ通算制度は適用されません。

乗車には食事の予約が必須となっており、特急券・グリーン券は、指定席券売機やインターネットサイトでは購入できません。JR四国、JR西日本、JR九州（一部の駅のみ）、JR東海（一部の駅のみ）のみどりの窓口や、オペレーターとの対話機能が付いた指定席券売機、一部の旅行代理店でのみ購入できます。空席状況は公式サイトでも確認できますが、みどりの窓口での直接確認がより確実です。

食事サービス

地元のシェフが、地元の食材を使った食事を提供します。「そらの郷紀行」では、香川県産の食材を使った洋風料理が、「しあわせの郷紀行」では、徳島県産の食材を使った「おとなの遊山箱」が提供されます。また、毎年2月には「四国まんなか千年ものがたり～スイーツ紀行～」が開催されます。

食事サービスの関係上、食品やペットの持ち込みは禁止されています。水やお茶程度の飲み物は持ち込み可能です。食事サービスを受けるには、乗車日の4日前までに食事予約券の購入が必要です。食事予約券は、JR四国管内のみどりの窓口や、一部の大手旅行代理店、JR四国の旅の予約センター、JR四国ツアー、観光ナビ「tabiwa by WESTER」などで購入できます。

停車駅と途中停車駅

停車駅は、多度津駅、善通寺駅、琴平駅、大歩危駅です。その他に、以下の駅でも運転停車し、一部の駅ではホームに降りることも可能です。

そらの郷紀行：讃岐財田駅、坪尻駅、阿波池田駅、三縄駅
しあわせの郷紀行：小歩危駅、阿波川口駅、阿波池田駅、坪尻駅、讃岐財田駅、金蔵寺駅

阿波川口駅では、地元特産品の販売や記念撮影が行われます。阿波池田駅では、ホームで記念撮影が可能です。琴平駅には「四国まんなか千年ものがたり」利用者専用の待合室「ラウンジ大樹」があり、ウェルカムドリンクやシャーベットが提供されます。

使用車両

使用される車両は、キハ185系気動車を改造した3両編成です。各車両は、四季の移ろいをイメージしたラッピングが施されており、1号車「春萌の章」は緑色、2号車「夏清の章」は青色、3号車「秋彩の章」は赤色、反対側の「冬清の章」は白色を基調としています。車内も外観デザインに合わせて、木材を多用した和風のインテリアとなっています。

ヘッドマークは、沿線の名所をイメージしたデザインです。また、他のものがたり列車と同様に、ミュージックホーンが装備されており、発車時や到着時にはオリジナルメロディが鳴り響きます。

編成

1号車：キロ185-1001 - 定員24名
2号車：キロ186-1002 - 定員11名（グループ席）
* 3号車：キロ185-1003 - 定員22名（一部グループ席）

2号車と3号車の一部はグループ席となっており、原則3人以上でのみ発売されます。2号車には、飲食物やお土産を販売するカウンターがあります。

四国まんなか千年ものがたりは、美しい景色と、地元の魅力を詰め込んだ特別な列車旅を提供しています。ぜひ一度、この列車に乗って、四国の魅力を再発見してみてはいかがでしょうか。

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