国民協議会

インドネシア共和国国民協議会：歴史と現状

インドネシア共和国国民協議会（MPR）は、インドネシアの立法府です。地方代表議会と国民議会からなる二院制ですが、地方代表議会は地方自治関連事項を主に審議し、国民議会が立法、予算、行政監督を担うため、厳密には「両院制」とは言い切れません。

歴史的変遷：スカルノ、スハルト時代から現在へ

スカルノ、スハルト時代、MPRは国民と社会を代表する国権の最高機関として位置づけられていました。大統領選出、国策大綱決定、憲法制定権を持ち、大統領や他の国家機関を評価する権限も有していました。しかし、この権限は、特にスカルノ、スハルト政権下では、権威主義体制を支える道具として利用されました。

スカルノ時代には議員の任命制が導入され、国軍代表が送り込まれるなど、MPRはスカルノの権力強化に貢献しました。スハルト政権下では、官製政党「ゴルカル」がMPRを支配し、スハルトの長期政権を支えました。1997年の総選挙では、MPRの1000議席のうち、ゴルカルが488議席、大統領・国軍司令官任命議員が213議席を獲得するなど、MPRはスハルト政権の強力な支持基盤でした。

1999年からの憲法改正により、MPRは国権の最高機関としての地位を失い、両院合同機関となりました。主権は国民へ、立法権は国民議会へ移譲され、地方代表議会が発足しました。MPRは憲法制定権と大統領罷免決議権を維持していますが、大統領選任権は国民に譲渡され、大統領と副大統領は直接選挙で選出されるようになりました。

現在のMPR：二院制議会と主要政党

現在のMPRは、5年の任期を持つ地方代表議会と国民議会から構成されます。国民議会における主要政党は以下の通りです。

インドネシア闘争民主党（PDI-P）： 現大統領ジョコ・ウィドドが所属する中道左派政党。
ゴルカル（Golkar）： スハルト時代の与党。東部で強い支持基盤を持つ自由主義保守派政党。
グリンドラ党（Gerindra）： ナショナリズムとポピュリズムを掲げる政党。
ナスデム党（NasDem）： 世俗主義を掲げる新党。
民族覚醒党（PKB）： イスラム系団体を支持母体とする政党。
民主主義者党（Demokrat）： ユドヨノ前大統領を支援して設立された中道政党。
福祉正義党（PKS）： エジプトのムスリム同胞団をモデルとした政党。
国民信託党（PAN）： 都市部で支持を集める政党。
* 開発統一党（PPP）： スハルト時代に発足したイスラム系政党。

これらの政党の勢力図は、選挙ごとに変化し、インドネシアの政治状況を反映しています。

まとめ

インドネシアのMPRは、その歴史の中で大きな変遷を遂げてきました。国権の最高機関から、現在の二院制議会へと役割は変化しましたが、インドネシアの政治において重要な役割を担い続けています。MPRの動向は、インドネシアの政治、社会、経済の動向を理解する上で重要な要素となります。各政党のイデオロギーや支持基盤、そしてそれらの相互関係を理解することで、インドネシア政治の複雑な様相をより深く理解できるでしょう。

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