国貞廉平

国貞廉平について

国貞廉平（くにさだ れんぺい）は、天保12年（1841年）に長州藩士の家に生まれ、幕末から明治にかけて活躍した人物です。幼名は鶴之進、のちに直之進、直人と名乗り、晩年には廉平と称しました。また、変名として逸水清助、雅号として韓山を用いていました。

生い立ちと藩士としての活躍

国貞廉平は、長州藩士・国貞要助の嫡男として、長門国萩城下松本村で生まれました。藩校である明倫館で学び、万延元年（1860年）には江戸の有備館に入り、大橋訥庵の指導を受けました。文久2年（1862年）には藩世子・毛利元徳の近侍となり、藩の中枢で活躍するようになりました。

慶応2年（1865年）には、鎮静会議員として内乱の収拾に尽力しました。その後、干城隊頭取兼文学寮都講、国政方などを歴任し、藩政においても重要な役割を果たしました。幕長戦争では、小倉藩との和議を担当し、慶応3年（1867年）には上京諸隊の参謀を務めました。

明治維新後の活動

明治維新後、国貞廉平は明治元年（1868年）に帰藩し、御用所役に就任しました。その後、参政、山口藩権大参事、同少参事などを歴任し、明治2年（1869年）には諸隊脱走兵反乱への対応にもあたりました。明治7年（1874年）には内務省に出仕し、名東県参事、愛知県参事、同大書記官を歴任しました。

明治13年（1880年）3月8日、国貞廉平は愛知県令に就任しました。当時、自由民権運動が盛んな時期であり、県会との間で対立もありましたが、備荒貯蓄法の推進や公娼・席貸営業廃止運動については、県会と協力して推進しました。これらの政策を通じて、県民生活の向上に貢献しました。

死去

国貞廉平は、明治18年（1885年）1月18日に愛知県令在任中に肺炎のため病死しました。その功績を称えられ、没後の1月17日に正五位が追贈されました。

人物像

国貞廉平は、激動の時代を生き抜き、藩士、官僚として活躍した人物です。長州藩では、藩政の中枢で活躍し、明治維新後は地方行政に携わり、愛知県令として県政を担いました。自由民権運動の高まりの中で、県会との対立を経験しながらも、県民生活の向上に尽力しました。その生涯は、幕末から明治という変革期を生き抜いた人々の姿を映し出しています。

参考文献

家臣人名事典編纂委員会編『三百藩家臣人名事典』 第6巻、新人物往来社、1989年10月。ISBN 9784404016515。
日本歴史学会編『明治維新人名辞典』吉川弘文館、1981年9月。ISBN 4642031146。
秦郁彦 編『日本官僚制総合事典 : 1868-2000』東京大学出版会、2001年11月。ISBN 4130301217。
安岡昭男 編『幕末維新大人名事典』 上、新人物往来社、2010年5月。ISBN 9784404037640。
吉田祥朔『近世防長人名辞典』（増補）マツノ書店、1976年6月1日。
歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年11月。

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