国鉄3085形蒸気機関車

3085形タンク式蒸気機関車の詳細

3085形は、かつて日本国有鉄道の前身である鉄道省に所属していたタンク式蒸気機関車です。この機関車は、1914年（大正3年）に小倉鉄道のためにドイツのヘンシェル・ウント・ゾーン社により製造されました。5両が製造され、それぞれ製造番号12821から12825までが付与されました。この機関車の車軸配置は2-6-2（1C1）で、48t級の飽和式機関車として設計されています。

小倉鉄道では、3085形は「6形」として知られ、主に貨物輸送を担っていました。しかし、1943年（昭和18年）に小倉鉄道が戦時中に国有化され、これを機に鉄道省籍を獲得しました。

この機関車のデザインには特筆すべきポイントがあります。まず、水タンクは長いサイドタンクと台枠内のウェルタンクが組み合わされており、これにより高い水容量を確保しています。また、ボイラーは長い煙管を装備し、大きな煙室が前方に突き出す形状をしており、煙突は先輪上に位置しています。このデザインは、典型的なドイツ様式を反映しており、後の鉄道省3040形（2代）の設計にも影響を与えたと考えられています。

310形の先台車はラジアル型であり、特に優れた曲線通過性能を持っています。このヘンシェル・バンゲルト台車は第1動軸中央部を旋回中心としており、動軸に横動を許容することから、非常に柔軟性があります。

国有化後、3085形は3085から3089に改番されました。これらは東小倉機関区で入換や補助機関車として使用されました。しかし、1947年（昭和22年）10月頃からは、C12形の導入により3086から3088が第一種休車となり、その後3088と3089は1948年（昭和23年）5月に廃車されました。これらの機関車は、三菱化成黒崎工場に譲渡され、1956年まで使用されました。

3086と3087は1948年3月の時点で休車中であり、同年5月に廃車が決定されました。一方で、3085は1948年1月に休車となり、同年10月に廃車されました。その後、しばらく東小倉機関区に放置された後、1951年3月に解体されました。

主要諸元

• - 全長: 10,382mm
• - 全高: 3,757mm
• - 全幅: 2,740mm
• - 軌間: 1,067mm
• - 車軸配置: 2-6-2(1C1)
• - 動輪直径: 1,168mm
• - 弁装置: ワルシャート式
• - シリンダー（直径×行程）: 406mm×610mm
• - ボイラー圧力: 12.0kg/cm²
• - 火格子面積: 1.35m²
• - 全伝熱面積: 94.9m²
• - 煙管蒸発伝熱面積: 88.3m²
• - 火室蒸発伝熱面積: 6.7m²
• - ボイラー水容量: 3.3m³
• - 小煙管（直径×管板間長×数）: 44mm×4,064mm×150本
• - 機関車運転整備重量: 48.06t
• - 機関車空車重量: 36.7t
• - 機関車動輪上重量（運転整備時）: 33.43t
• - 機関車動輪軸重（第2・3動輪上）: 11.04t
• - 水タンク容量: 7.2m³
• - 燃料積載量: 1.7t

機関車性能

• - シリンダ引張力（0.85P）: 9,320kg
• - ブレーキ装置: 手ブレーキ、真空ブレーキ

参考文献

1. 臼井茂信「国鉄蒸気機関車小史」1956年、鉄道図書刊行会刊
2. 臼井茂信「日本蒸気機関車形式図集成 1」1969年、誠文堂新光社刊
3. 臼井茂信「機関車の系譜図 2」1976年、交友社刊
4. 金田茂裕「形式別 日本の蒸気機関車 II」エリエイ出版部刊
5. 奈良崎博保「買収私鉄探求シリーズ・1 小倉鉄道とその機関車」月刊レイル

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