團名保紀

日本の美術史研究を牽引する一人、團名保紀（だん なおき）氏は、1948年3月1日生まれの美術史家・美術学者です。特にイタリア美術史を専門分野とし、長年にわたり群馬大学教育学部の美術教育講座で教鞭を執った後、現在は同大学の名誉教授の称号を受けています。

略歴と人物像

團氏は、著名な作曲家として知られる團伊玖磨氏と、ソプラノ歌手であった桑原瑛子氏の長男として生を受けました。慶應義塾大学経済学部を卒業後、イタリアに渡り、フィレンツェ大学大学院教育研究科にて美術史を専攻し、1977年3月に同課程を修了しています。このイタリアでの学びは、その後の研究活動の礎となりました。2000年4月には群馬大学教育学部の教授として着任し、教育と研究に尽力しました。2001年5月には父である團伊玖磨氏が逝去され、喪主を務めています。2013年3月に群馬大学を定年退職し名誉教授となりましたが、その後も同大学で非常勤講師を務めるなど、教育活動への情熱を持ち続けています。イタリア語に非常に堪能であり、研究発表の場では主にイタリア語を使用しています。

研究分野と業績

團氏の研究は、イタリア美術史、特にイタリア彫刻史に深く根ざしています。具体的な研究対象としては、ティーノ・ディ・カマイーノやドナテッロといったルネサンス期前後の重要な彫刻家、そして皇帝ハインリッヒ七世の墓碑とそのルネサンス美術への影響などが挙げられます。これらのテーマに関する多数の著書や論文を発表しており、その研究成果は国内外で高く評価されています。

主な著書には、イタリア美術に関する専門書のみならず、文学作品に関する論考も含まれており、幅広い関心と知見を持つことが伺えます。

『総合芸術としてのティーノ作皇帝ハインリッヒ七世の墓』（1995年）
『La Tomba di Arrigo VII di Tino di Camaino e il Rinascimento』（イタリア、1993年）
『イル・ソドマ』（1991年）
『「山月記」をよむ』（2002年）

これらの著作や多数の学術論文を通して、イタリア美術史の理解促進に貢献しています。また、東北芸術文化学会では副会長を、京都美術史研究会では会長を務めるなど、学会活動にも積極的に参加し、美術史研究の発展に寄与しています。

著名な血筋

團名保紀氏は、日本の近現代史に名を残す illustrious な家系の一員です。

父は作曲家の團伊玖磨。
祖父は東京帝国大学助教授、参議院議員、プリンス自動車社長などを歴任した團伊能。
曾祖父は三井合名理事長を務め、血盟団事件で暗殺された團琢磨。

祖母は宮内省大膳頭を務めた上野季三郎氏の五女である美智子氏です。

さらに、團氏の家系は日本の財界・文化界の著名な一族と複雑に繋がっています。

大伯母のうち英子氏はセイコー創業者一族である服部家の服部玄三氏に嫁いでおり、服部家と親戚関係にあります。
* また、別の叔母である朗子氏がブリヂストン社の社長を務めた石橋幹一郎氏に嫁いだことから、ブリヂストン創業者の石橋正二郎氏や、元内閣総理大臣である鳩山一郎氏、鳩山由紀夫氏とも遠縁ながら血縁関係で結ばれています。

異母弟には、建築家として活躍し日本建築学会賞業績賞を受賞している團紀彦氏がおり、その娘である團遥香氏は女優・タレントとして活動しています。このように、團氏の家系は日本の多岐にわたる分野で活躍する人物を輩出しており、その背景も團名保紀氏という人物を知る上で興味深い側面と言えるでしょう。

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