土井利善

土井利善（どい としよし）

土井利善は、江戸時代後期に三河刈谷藩の第8代藩主を務めた人物です。刈谷藩土井家の11代目当主にあたります。天保元年（1830年）に遠江浜松藩主・井上正甫の九男として誕生しました。

弘化3年（1846年）12月に先代藩主であった土井利祐が亡くなったため、翌弘化4年（1847年）3月にその末期養子として土井家を相続し、刈谷藩主となりました。同年4月には第12代将軍・徳川家慶に謁見し、12月には従五位下・大隅守に叙任されています。

幕府においては奏者番を皮切りに、文久3年（1863年）には寺社奉行、陸軍奉行といった要職を歴任し、江戸城桜田門番も務めました。早くから西洋式軍隊の優位性を認識し、自藩で洋式軍事訓練を実施するなど、先見の明を持つ大名として幕府内でも将来を期待されていました。

しかし、井上家から養子に入った経緯や実子の早世、養子問題などが絡み、藩内部では対立が頻発しました。さらに、尊王派の藩士（松本奎堂、宍戸弥四郎）が長州藩士を匿い、天誅組の変に中心人物として関与したことで、幕府からの圧力を受けることになります。加えて、土井家の本家からも圧力を受け、利善は失意のうちに慶応2年（1866年）7月19日に家督を養子の利教に譲り隠居しました。

慶応3年（1867年）3月20日に死去。享年38歳でした。

系譜

実父：井上正甫（遠江浜松藩主）
養父：土井利祐（三河刈谷藩主）
正室：錦（土井利祐の長女）
子女
捨若
益之助
常
粉
喜久
貞（南部信方正室）
甲子太郎
谷（山口弘達正室）
* 養子：土井利教（建部政醇の次男）

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