土師富杼

土師富杼の概要

土師富杼（はじ の ほど）は飛鳥時代に活躍した豪族であり、その姓は連である。彼に関する記録は主に『日本書紀』に存在し、特に持統天皇の時代に関連する部分が重要視されている。彼の先祖については、『新撰姓氏録』や『大和国神別』において天穂日命の子孫とされ、これをもとにその家系が伝承されてきた。

出自と家系

土師連氏は、天穂日命の十二世孫にあたる可美乾飯根命の後裔とされています。これは、古くから伝わる系譜に基づいており、その名は古代の神話と深く結びついています。また、光仁天皇の時代には、菅原朝臣に改姓したという記録も存在します。これは、時代の流れの中で名や姓が変わることを示す一例であり、古代日本における豪族の変遷を考える上で興味深い事象です。

経歴の詳細

土師富杼自体についての直接的な記録は『日本書紀』の一部に限られています。特に持統天皇4年（690年）の記述において、彼が大伴部博麻とともに登場する場面があります。この記録は、富杼が帝国の勢力の一部として何らかの重要な役割を果たしていたことを示唆しています。彼が記されている内容によると、大伴部博麻は富杼に語りかけ、政の重要な情報を伝える場面が描かれています。

この文脈の中で「天智天皇の3年」と記述されているのは、実際には天皇が即位してからの事を指しており、これは天智天皇9年（670年）に相当します。この時期、富杼は日本に帰国し、朝廷に対し、唐人に関する報告を行ったと言われています。しかし、具体的に彼の行動に対応する記録が『日本書紀』内に存在していないため、正確な状況は不明な部分が多いです。

実際には、彼が帰国した際の記録の多くは、同じく天智天皇10年（671年）に記された「筑紫薩野馬」の帰国記録に関連づけることができるかもしれません。この記述では、唐船が対馬に現れたことが述べられ、富杼らの帰国事実に何らかの関係があった可能性が考えられます。また、この部分も持統天皇の命令の下に記された内容であるため、歴史的解釈においては複数の視点を持って考える必要があります。

土師連氏の影響

土師連氏は、天武天皇13年（684年）に八色の姓の制度が導入された際、宿禰の姓を与えられています。このことは、彼らが当時の政治体制や社会において重要な位置を占めていたことを示す証拠でもあります。土師氏は古代の日本の豪族の中でも特に権力を誇示し、朝廷の中心的存在としての役割を継承したと言えます。

彼らの歴史や系譜は、日本の古代史を理解するために欠かせないものであり、土師富杼の存在はその一端を物語っています。今日においても、彼の業績やその家系の歴史は、多くの学者や歴史愛好家にとって、興味深い研究の対象となっています。

参考資料

土師富杼に関する情報は、以下の文献で詳細に述べられています。

• - 『日本書紀』（岩波文庫、1995年）
• - 『日本書紀 全現代語訳(下)』（講談社学術文庫、1988年）
• - 『日本古代氏族事典 新装版』（雄山閣、2015年）
• - 『白村江―古代東アジア大戦の謎』（講談社現代新書、1997年）
• - 『戦争の日本古代史 好太王碑、白村江から刀伊の入寇まで』（講談社現代新書、2017年）

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