外衛府

外衛府について

外衛府（がいえふ）は、奈良時代の8世紀後期に存在した親衛軍組織で、特に天平宝字8年（764年）に設置されました。これは藤原仲麻呂の乱に関連して設置された令外官であり、既存の五衛府の上位に位置していました。外衛府の役割や組織については、設立からわずか8年で廃止されるまで多くの変遷を経たことが記録されています。

設立の背景

外衛府の設立は、藤原仲麻呂の乱の表れとして、当時の政治情勢に強く影響されました。『続日本紀』の記録によると、外衛府は天平神護元年（765年）2月に授刀衛から近衛府への改編に伴い、官員の定員や官位が定められました。さらに、仲麻呂の乱の後、天平宝字8年10月には、外衛大将の百済王敬福が軍を率いて行動したことが示されています。このことからも外衛府の設置は、平安京における防衛や治安維持のための必要性に基づいていたと考えられます。

外衛府の組織と役割

外衛府は、近衛府や中衛府と共に、主に禁中の警衛を担い、舎人をその武力の主体としていました。組織の中での地位は他の衛府よりも低かったものの、それでも重要な役割を果たしました。外衛府の設立は、農民から選ばれた衛士ではなく、地方豪族や中央の官人の子弟からなる舎人をその主体とし、安定した戦力を構築しようとする試みの一環でした。

この改革は、仲麻呂の乱で揺らいだ衛府の再建を目的としており、唐の軍制を参考にしたものでした。しかし、外衛府は成立から8年後の宝亀3年（772年）に、内豎省と共に廃止されることとなります。これは、外衛府が近衛府や中衛府に比べて歴史が浅かったことや、その設立の背景が称徳天皇や道鏡政権と密接に関連していたことが影響したと思われます。

外衛府の廃止

外衛府が廃止された際、所属していた舎人は近衛府や中衛府、さらには左右兵衛府に転属されました。これは外衛府の存在が一時的であったことを示していると同時に、当時の日本の政治体制の変化をも象徴しています。

実際、外衛府の詳細な組織やその他の戦力については、『続日本紀』による情報が限られているため、不明瞭な部分が多いですが、その存在が当時の政権にどのような意味を持っていたかを考察することは、日本の歴史を理解する上で重要です。多くの研究文献での記述に加え、外衛府の歴史を紐解くことで、古代日本における軍事組織の多様性や、その運営方法が明らかになってきます。

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