多度津港

多度津港の歴史と変遷

多度津港は、香川県仲多度[[郡]]多度津町に位置する地方港湾で、その管理は香川県が行っています。この港は、古くは奈良時代末期に和気氏によって「堀江津」として開かれました。平安時代には、讃岐国の各郡に郡津が設置されると、多度郡の港として重要な役割を担い、これが「多度津」の地名の由来となりました。

源平合戦と多度津

平安時代末期の源平合戦（治承・寿永の乱）の際には、平家を追討する源義経が暴風雨を避けてこの港に寄港したという伝承があります。その際、武蔵坊弁慶が神の怒りを鎮めるために賀茂神社に大般若波羅蜜多経を納めたと伝えられています。室町時代には、細川氏の家臣で西讃を統治した香川氏が多度津山に館を構え、多度津は交易の拠点として発展しました。

江戸時代の繁栄

江戸時代に入ると、多度津は北前船の重要な寄港地として栄え、讃岐三白（塩、砂糖、綿花）の積み出しや、海産物の集散地として繁栄しました。また、当時全国的に人気を集めていた金刀比羅宮への参詣客も、金毘羅船を利用して多く訪れました。江戸時代には、多度津は生駒氏、山崎氏を経て京極氏が領主となり、1658年には京極高通が分家して多度津藩が成立しました。特に、5代藩主の京極高琢は、櫻川の河口にあった多度津港の大改修を行い、湛甫を構築しました。この改修によって、多度津は有数の良港となり、幕末には丸亀港をしのぐほどの繁栄を見せました。

明治以降の変遷

明治時代に入ると、讃岐鉄道が丸亀 - 多度津（現在の浜多度津駅付近） - 琴平間に開通し、大阪商船の大阪多度津航路など大型船が寄港するようになりました。これにより鉄道と港が接続され、物流の効率化が図られました。しかし、香川県内では県都の高松港が大規模改修によって発展し、高松への鉄道延伸や高松港 - 土庄港 - 宇野港航路の開設などにより、四国・香川の海の玄関口としての地位は、次第に多度津・丸亀から高松へと移っていきました。

太平洋戦争後、工業化に対応するため、香川県主導で臨海工業用地の造成と港湾設備の整備が進められ、多度津港は旅客港から機械、金属、造船などの工業地域へと変化しました。2006年には、「多度津港旧外港東防波堤」が土木学会選奨土木遺産に選ばれ、その歴史的な価値が認められました。

現在の多度津港

現在の多度津港は、工業港としての役割が大きくなっていますが、旅客航路も残っています。たどつ汽船が、多度津港と高見島、佐柳島を結ぶ航路を運航しています。かつては、日比港や福山港を結ぶフェリー航路もありましたが、現在は廃止されています。

多度津港に関連する施設

多度津港周辺には、多度津山にある桃陵公園があり、港の逸話「一太郎やあい」の像が設置されています。また、金毘羅街道や瀬戸内工業地域も近くにあります。

参考資料

• - 四国の建設のあゆみ（四国の建設のあゆみ編纂委員会）
• - 地名大辞典（角川）
• - 多度津町史
• - 西讃府誌

多度津港は、その歴史と変遷を通じて、香川県の経済と文化に深く関わってきました。現在では工業港としての役割が主ですが、その歴史的な遺産は今も大切にされています。

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