多治比三上

多治比 三上（たじひ の みかみ）

多治比三上は、奈良時代に活躍した貴族であり、その官位は従五位上及び左衛士佐に達した人物です。生没年については不明ですが、彼の政治的な役割と活動は当時の歴史に刻まれています。

経歴の概要

三上は光仁天皇の時代に目覚ましい業績を残しました。宝亀7年（776年）の正月には従五位下に叙爵され、同年の3月には南海道の検税使として派遣されました。その後、彼は長門守に就任します。このような役職にあったことで、地方行政における彼の責任は大きく、その働きが求められていたことが伺えます。

天応元年（781年）4月には、左兵庫の武器が異常に鳴り響く事件が発生しました。この騒音は、まるで大石が大地に落ちたかのような凄まじいもので、天皇自身も病にかかる事態に至りました。この出来事を受けて、三上は伊勢国に派遣されることになり、当時の権力者たちと協力しながら状況を収束させようと努めました。同時に、伯耆守の大伴継人は美濃国に、兵部少輔の藤原菅継は越前国に派遣されました。

当時、天皇は皇太子である山部親王（後の桓武天皇）に譲位することとなり、三上はこの政局でも一翼を担っていたことになります。

職歴の変遷

781年の10月には左京亮に任命され、その翌年の閏正月には氷上川継の謀反が発覚しました。これを受けて、三上は高い地位にいたにもかかわらず、大きな危険に直面することになりました。逃げた川継を捕らえるために、再度固関が行われ、三上は左京亮の職を弟である多治比浜成に譲り、自らは伊勢老人の後任となって主馬頭に任ぜられることになりました。このように、彼は状況に応じて柔軟に役職を変更し、政治的混乱に対処しました。

782年には、彼は大伴弟麻呂の後を受けて左衛士佐に就任し、延暦2年（783年）には従五位上に昇進しました。三上の昇進というのは、政治的な安定を求める中で、彼の能力が高く評価されていた証拠とも言えるでしょう。

まとめ

多治比三上は、奈良時代の重要な政治的立場を占めていた貴族であり、さまざまな役割を果たしてきました。その生涯には、政変や任命の変動があり、彼の政治活動が奈良時代にどのように影響を与えたかが示されています。歴史の中で彼の役割はしばしば見過ごされがちですが、実際には当時の政治情勢において大変重要な人物であったと言えるでしょう。

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