大友親綱

大友親綱

大友親綱（おおとも ちかつな）は、室町時代中期の武将であり、豊後国（現在の大分県）を治めた守護大名です。大友氏の13代当主として、激動の時代を生きました。

生涯

南北朝時代以来、大友氏の家督は、9代当主・大友氏継の系統と10代当主・親世の系統が交互に継承されていました。親綱の父である親著は、氏継の子でありましたが、先代当主である親世の子・持直を後継者としました。この決定に不満を持った親綱の兄・孝親は、大内氏と結んで反乱を起こしましたが、鎮圧されました（三角畠の乱）。

応永6年（1399年）の応永の乱により一時衰退した大内氏は、大内盛見の代になり、室町幕府の信任を得て、豊前国の守護職を得るなど、再び北九州に勢力を拡大しつつありました。先の三角畠の乱も盛見が背後で扇動した可能性があります。持直は少弐氏と協力して大内氏と対立し、盛見を討ちましたが、その罪で幕府から追討を受けることになります。この時、幕府から新たに豊後守護に任じられ、大友氏当主と定められたのが親綱でした。親綱は、盛見の後継者である大内持世らと共に持直の討伐にあたりました。なお、筑後国守護は菊池氏に譲られています。

親隆から親綱への突然の家督継承は、将軍・足利義教が決定したものでした。義教の寵臣であった菊池持朝のもと、肥後国で養育されていた親綱は、急遽豊後へ呼び戻されました。

このため、大友氏一族は親綱派と持直派に分裂することになります。父・親著と弟・親重が持直派に味方し、親綱と敵対するなど、大友一門の多くが持直派となりました。親綱派は一時、親綱が豊前国へ出奔を余儀なくされるなど苦戦を強いられましたが、親綱は幕府と大内氏の力を背景に田北氏らを調略することで味方に付け、姫岳合戦において持直を破り、当主の座を確保しました。しかし、持直や親著、親重との対立はその後も続きました。後に両統迭立の伝統に従い、持直の弟である親隆に家督を譲りました。

歴代の大友氏当主と同様に、親綱も臨済宗に深く帰依し、大聖院（大聖寺）を建立しました。当時、大聖院は多くの塔頭を有する豊後国有数の大寺院群でした。

親綱の六男である大友親実は、戦国時代初期に大友親治と家督を争いました。親実の背後には、将軍足利義材と大内義興がいました。

親綱の墓所は、大分県豊後大野市の大聖寺にあります。

偏諱を受けた人物

大野綱基（おおの つなもと）- 豊後大神氏の一族、大野氏の当主。
斎藤綱実（さいとう つなざね）- 父は大友親著から偏諱を賜った著利（あきとし）。子孫に斎藤鎮実を輩出した豊後斎藤氏の当主。
問註所綱康（もんぢゅうじょ つなやす）- 問註所氏当主。子孫に問註所統景など。
吉弘綱重（よしひろ つなしげ）- 吉弘氏第5代当主。吉弘鑑理の高祖父。
* 吉弘綱忠（よしひろ つなただ）- 吉弘氏分家の当主。

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