大川湖面橋

大川湖面橋（おおかわこめんきょう）

大川湖面橋は、福島県会津若松市大戸町大川と南会津郡下郷町大字小沼崎を結び、阿賀川（大川・若郷湖）に架かる橋長425mの橋梁です。福島県道214号芦ノ牧温泉南停車場線の一部を担っています。

概要

この橋は、大川ダム建設によって水没する旧一般県道桑原停車場線の代替道路として、建設省北陸地方建設局阿賀川工事事務所によって建設されました。地形的な制約から、橋脚の高さが最大58mに達するハイピア構造であり、最大支間長は117.5mという大規模な鋼4径間連続箱桁橋です。

諸元

形式: 鋼4径間連続箱桁橋
橋格: 一等橋（TL-20）
橋長: 425.000m
支間割: (94.250m + 2×117.500m + 94.250m)
幅員:
総幅員: 8.200m
有効幅員: 7.000m
車道: 7.000m
歩道: なし
横断勾配: 2.0%
床版: 鋼床版
橋台: 重力式橋台
橋脚: SRC中空断面橋脚（外形4.5m、内径3.0m）
基礎: 直接基礎
鋼重: 1580.994t
施工: 松尾橋梁・日本橋梁特定建設工事共同企業体、三菱重工業・川崎重工業特定建設工事共同企業体
* 架設工法: ステージング・斜吊り併用ケーブルクレーン・カンチレバー工法

歴史

橋梁建設に至る経緯

架橋地点は、地形、会津線移設計画、大川ダム貯水池の計画高水位を考慮して選定されました。上部工形式は、旧県道と鉄道の通行を確保する必要性、フレキシブル橋脚の採用可能性などを考慮し、4径間連続形式に決定。鋼トラス、鋼箱桁、PC箱桁などの形式の中から、構造性、経済性、維持管理性の観点から鋼箱桁が採用されました。

下部工については、最も高いP2橋脚を対象に動力解析を行い、構造性、経済性、河川管理性から外形4.5mの円形中空断面橋脚とし、モーメント軽減のためにフレキシブル構造としました。施工性を重視して材質はSRCを採用し、中空部に通水孔を設けて浮力の低減を図っています。

施工

下部工は1978年度に着手し、翌1979年度に完成しました。施工にあたっては、県道橋、国鉄橋の通行を妨げず、河川形状の制約を考慮した架設計画が立案されました。荷揚げ設備はロングエレベーター工法によります。橋脚の施工は、支持まで掘削を行い鉄骨アンカーフレームを設置し、フーチング施工後埋め戻しを行いました。次にケーブルクレーンにより1ロットずつ外形円筒外枠を組み立て、鉄骨組立とコンクリート打設を行いました。1ロットのサイクルは、打設間隔が最小限になるよう7日間で計画されました。

上部工は1979年度・1980年度に桁製作を行い、架設は1980年12月から1982年9月にかけて行われました。

架設工法は、現場での組み立てが可能で、安全性・施工性・工期・経済性の観点からステージング・斜吊り併用ケーブルクレーン・カンチレバー工法が採用されました。主桁の製作は2JVにより行われ、陸路で搬入されました。部材は現地で1ブロックに組み立て、ウェブ・鋼床版の溶接を行い全断面ブロックに形成されました。桁架設は右岸のA1橋台側から左岸のA2橋台側に、ケーブルクレーンによる運搬で片方向に行われました。各径間の中間にステージングを設け、A1からST1までは斜吊りによるカンチレバー架設、ST1からA2までは順次剛結してカンチレバー架設を行いました。

架設地点の地形から、ステージング、ケーブルクレーンなどの設備が非常に大きく、ケーブルクレーンのスパンは500mに達し、吊荷重は50tにもなりました。このため、ロープの風による絡まり、無負荷時の下垂を防止するためロープハンガを設置しました。A1橋台からST1までは斜面であるためステージングが建てられないことから、同区間は右岸ケーブルクレーンから斜吊り索を設置して架設しました。この際、防風対策が行われました。

張出し架設は張出し長が90m近くに及ぶため、桁のたわみ・応力・座屈の管理を入念に行い完成させました。

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