大庭美樹

大庭 美樹

大庭 美樹（おおば みき）は、1971年1月12日生まれの元女流棋士です。静岡県沼津市の出身で、千葉県立市原高等学校を卒業しています。佐瀬勇次名誉九段に師事し、LPSA（日本女子プロ将棋協会）に所属していました（LPSA番号9）。かつて日本将棋連盟に在籍していた時期の女流棋士番号は旧26でした。2020年3月31日をもって現役を引退しています。

棋歴と歩み

将棋との出会いは早く、アマチュア時代には1987年に開催された第一回女流アマ王将戦で優勝を飾っています。この実績を引っ提げ、女流棋士を目指すこととなりました。

1984年に女流育成会に入会し、研鑽を積みました。1990年4月1日に女流2級としてプロ入りを果たしますが、初段昇段までには長い時間を要しました。特に1級から初段にかけては約8年半という期間がかかり、あと一歩で昇段という重要な対局で涙をのむことも少なくなかった、いわゆる「苦労人」として知られています。しかし、粘り強く努力を続け、2005年6月18日、レディースオープン予選で当時育成会員だった室田伊緒氏を破り、1級昇級後の通算50勝を達成。この規定により念願の女流初段へと昇段しました。引退後の2024年9月1日には、引退女流棋士昇段規定に基づき、女流二段に昇段しています。

主要な棋戦では、レディースオープントーナメントでたびたび好成績を収めています。1996年、1997年にはベスト8に進出し、2002年にはさらに勝ち進んでベスト4入りを果たしました。また、現役晩年の2016年には、第2回女子将棋YAMADAチャレンジ杯でベスト4に進出するなど、長く第一線で戦い続けました。

特徴的な棋風として、雁木や右玉といった、近年男性棋士を含めてもあまり指されない戦法を好んで用いることが挙げられます。これらの戦法を駆使し、個性的な将棋を数多く見せました。

将棋界への貢献とエピソード

大庭氏は対局者としてだけでなく、将棋界全体の運営にも深く関わりました。日本将棋連盟時代には、1998年から2002年まで女流育成会の幹事を務め、若手育成に尽力。また、1994年から1996年、そして2001年から2006年にかけては女流棋士会の役員として、女流棋士を取り巻く環境の整備に貢献しました。

2007年5月には、日本将棋連盟を退会し、新組織である日本女子プロ将棋協会（LPSA）の設立メンバーの一人として活動を開始。LPSAの立ち上げと運営に重要な役割を果たしました。

さらに、対局の裏方としても多岐にわたる業務をこなしています。テレビ棋戦である銀河戦では、その開始当初から第15期まで長きにわたり記録係や聞き手を担当。また、早指し将棋選手権でも記録係や読み上げを務めるなど、多くの対局の場で盤面や時間を管理し、番組を進行させる重要な役割を担いました。

プライベートでは、野球観戦が趣味で、千葉ロッテマリーンズの熱心なファンとしても知られています。

大庭家は将棋一家としても知られています。姉の大庭美夏氏、そしてその娘である姪の礒谷真帆氏も女流棋士であり、三代にわたる女流棋士が誕生している稀有な例です。

昇段履歴

1984年：女流育成会入会
1990年4月1日：女流2級
1996年4月1日：女流1級
2005年6月18日：女流初段（1級昇級後通算50勝）
2020年3月31日：現役引退
2024年9月1日：女流二段（引退女流棋士昇段規定）

通算成績

現役引退までの通算成績は339対局を指し、125勝214敗（勝率.369）でした。

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