大杉守一

大杉守一：海軍中将の波瀾万丈な生涯

大杉守一（1892年-1948年）は、昭和時代の日本海軍において中将の階級にまで上り詰めた軍人です。静岡県に生まれ、海軍兵学校、海軍大学校と順調にキャリアを積み重ねました。同期の仲間には、後に海軍における重要な地位を占める人物も数多く含まれていました。

大佐に昇進した1941年、大杉は中国に派遣されます。当時、日本軍の占領下にあった中国において、彼は南京国民政府汪兆銘政権に海軍顧問団の首席指導官として着任しました。この任務において、大杉は新中国海軍の創設と育成に尽力し、日華基本条約に基づく日中両国の防衛協力を推進しました。日華防共作戦や日中戦争の処理においても重要な役割を果たし、多大な貢献をしたと評価されています。

太平洋戦争が激化すると、大杉は戦闘に参加することとなります。1943年11月、ブーゲンビル島沖海戦で第十戦隊司令官として戦闘に従事しました。同月のラバウル空襲では、軽巡洋艦「阿賀野」に乗艦中、敵機の機銃掃射を受けて重傷を負います。負傷にもかかわらず、大杉の海軍におけるキャリアは続きます。

1944年1月、大杉は第二十三特別根拠地隊司令官に任命され、インドネシアのマカッサルに赴任しました。太平洋戦争末期、激化する戦況の中、彼はインドネシアでの重要な任務を担っていました。

終戦後、大杉は蘭印マカッサル裁判（マニラ軍事裁判）にかけられ、死刑判決を受けます。1948年3月には公職追放の仮指定を受け、同年8月28日、56歳で公務死しました。彼の生涯は、海軍における華々しい活躍と、戦後の厳しい裁きの両面を物語るものです。

詳細な経歴年譜

以下に大杉守一の経歴を年譜形式で示します。

1913年12月19日: 海軍兵学校41期卒業
1914年12月1日: 海軍少尉任官、「八雲」乗組
1916年12月1日: 海軍中尉任官
1919年12月1日: 海軍大尉任官
1923年11月1日: 海軍兵学校教官兼監事
1926年2月1日: 海軍大学校甲種学生25期入学
1926年12月1日: 海軍少佐任官
1927年11月25日: 海軍大学校甲種学生25期卒業
1928年2月1日: 「八雲」副砲長兼分隊長
1929年2月1日: 横須賀鎮守府附（海軍省派遣勤務員教育局勤務）
1931年10月31日: 第三戦隊参謀
1931年12月1日: 海軍中佐任官
1933年2月1日: 第一艦隊参謀兼連合艦隊参謀
1934年2月1日: 呉鎮守府参謀兼豊予要塞参謀、下関要塞参謀、由良要塞参謀
1935年7月1日: 上海海軍特別陸戦隊参謀兼第五艦隊司令部附
1936年1月1日: 上海海軍特別陸戦隊参謀兼第三艦隊司令部附
1936年12月1日: 海軍大佐任官
1937年1月1日: 横須賀鎮守府附
1937年4月1日: 「隠戸」特務艦長
1938年10月22日: 舞鶴要港部参謀長
1939年11月15日: 重巡洋艦「摩耶」艦長
1941年4月15日: 戦艦「金剛」艦長
1941年8月20日: 青島特別根拠地隊司令官兼第三遣支艦隊参謀長
1942年2月3日: 青島警備隊司令官（旧名称：青島方面特別根拠地隊）
1942年4月10日: 海軍兵学校教頭兼監事長
1942年5月1日: 海軍少将任官
1942年6月21日: 第十戦隊司令官
1944年1月26日: 第二十三特別根拠地隊司令官
1945年5月1日: 海軍中将任官
1946年12月10日: 予備役編入
1948年8月28日: 公務死（マニラ軍事裁判）

参考文献

海軍歴史保存会編『日本海軍史第九巻』第一法規出版
外山操編『陸海軍将官人事総覧 海軍篇』芙蓉書房出版
外山操『艦長たちの軍艦史』光人社

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