大潮清治郎

大潮 清治郎

大潮 清治郎（おおしお せいじろう）は、1900年8月11日に福岡県三潴郡（現在の福岡県大川市）で生まれた、陸奥部屋に所属した大相撲力士です。本名は石橋 清治郎（いしばし せいじろう）。身長184cm、体重116kgという堂々たる体格を持ち、右四つからの寄りを最も得意としました。そのキャリアの最高位は東関脇でした。また、現役中には二枚鑑札として年寄陸奥を襲名し、指導者としての顔も持っていました。

力士としての歩み

1919年1月場所で陸奥部屋から初土俵を踏んだ大潮ですが、他の力士に比べて入門が比較的遅かったこともあり、その後の昇進はゆっくりとしたペースでした。十両昇進を果たしたのは1928年3月場所、そして幕内へ初めて昇り詰めたのは1932年1月場所のことで、この時すでに30歳を超えていました。新入幕の場所に、角界を揺るがす春秋園事件が発生し、多くの力士が協会から脱退しましたが、大潮は協会に残留する道を選びました。この残留という選択が、彼にとって予期せぬ形で番付の急上昇をもたらしました。事件前の番付は東前頭12枚目でしたが、混乱収拾後の番付では一気に東前頭2枚目へと躍進し、幕内上位の地位を得ることになります。

この番付での機会を活かし、彼は幕内上位でも十分に通用する力を見せ、同年5月場所には小結へと昇進しました。その後、ついに最高位である関脇にまで達し、自身の得意とする右四つからの正攻法である寄り相撲を武器に、長く幕内上位で安定した活躍を見せました。まさに典型的な大器晩成型の力士として、息の長い現役生活を送ったのです。

息の長い活躍と不滅の記録

大潮の現役時代の特筆すべき出来事として、30歳を超えてからさらに実力を伸ばし、円熟期を迎えたことが挙げられます。そして、年齢を重ねてなお衰えぬ力を見せつけたのが、1940年1月場所6日目に横綱男女ノ川を破って獲得した金星です。この時の大潮の年齢は39歳5ヶ月であり、これは現在も破られていない、金星獲得における最年長記録として歴史に刻まれています。40歳を過ぎた1941年5月場所まで現役を続けたことは、その並外れた息の長さと衰えを知らない実力の証と言えるでしょう。彼の土俵態度は風格があり、人柄も優れていたため、力士仲間からの人望も厚かったと伝えられています。

年寄としての活動

大潮は現役中の1937年から、異例の二枚鑑札という形で年寄陸奥を襲名し、陸奥部屋を率いることになりました。指導者としては、弟子の若潮を幕内力士に育て上げています。彼の現役最後の場所となった1941年5月場所は、ちょうど若潮が新入幕を果たした場所でもありました。これにより、師匠である大潮と弟子である若潮が揃って幕内土俵入りを行うという、相撲史においても稀な偉業を達成しました。

現役引退後も陸奥部屋の師匠として後進の指導にあたっていましたが、1960年に部屋を閉じ、同系統で自身が現役時代に対戦経験のなかった錦島部屋へ移籍しました。その後、錦島部屋が消滅した1964年には時津風部屋に移籍し、1965年に年寄を停年退職しました。

主な成績

大潮清治郎の通算成績は238勝250敗2分37休で、勝率は.488です。幕内では97勝134敗35休の成績を残し、幕内には23場所在位しました。三役には通算5場所（関脇1場所、小結4場所）在位。横綱からは玉錦、武藏山、男女ノ川の各力士から合計3個の金星を獲得しています。各段優勝としては、1931年5月場所に十両優勝、1929年3月場所に幕下優勝を経験しています。

大器晩成の力士として、記録にも記憶にも残るキャリアを歩んだ大潮清治郎は、その人柄と相撲ぶりで多くの人々に親しまれました。

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