大炊御門頼国

大炊御門頼国

大炊御門頼国（おおいのみかど よりくに）は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて生きた公卿です。権大納言・大炊御門経頼の長男として生まれ、大炊御門家18代当主となりました。

生涯

天正6年（1578年）に叙爵し、侍従、左近衛少将を経て、天正15年（1587年）に従三位・左近衛中将となり公卿の仲間入りを果たします。慶長3年（1598年）には正三位に昇進しますが、その後は官位の上昇は停滞しました。

慶長13年（1608年）には、猪熊教利、烏丸光広、花山院忠長、飛鳥井雅賢、難波宗勝、松木宗信、徳大寺実久らと共に、御所の官女たちと密会し乱交に及ぶという事件を起こします。これが後陽成天皇の怒りを買い、慶長14年（1609年）には硫黄島への流罪が決定しますが、周囲の助けにより甑島への流罪へと変更されました。

慶長18年（1613年）3月11日、甑島にて37歳で病死しました。墓は寛永寺の谷中霊園にあり、墓石には「崇光院殿開国顕正大居士」と刻まれています。また、頼国の墓は甑島にも存在します。

白尾国柱の『麑藩名勝考』によれば、頼国は慶長18年（1613年）3月11日に病死し、一清院と号したと伝えられています。

甑島での伝承

『麑藩名勝考』によると、頼国は甑島で現地の士人・梶原宗政の娘を妻とし、春という娘が生まれました。春は後に島津忠恒に仕え、26歳の時に甑島の本田親豊に嫁いだとされています。

頼国の死後、梶原氏の娘は松木宗隆に再嫁し、2女1男をもうけました。長女は早世し、次女は老茶と名乗り島津光久に仕えましたが、承応2年（1653年）に天然痘で亡くなりました。男子は少兵衛宗義と称し松木氏を継ぎましたが、その子である伊兵衛宗知には男子がいなかったため、頼国の男系子孫は絶えてしまいました。

猪熊事件について

猪熊事件は、慶長年間に起きた公家社会の不祥事です。猪熊教利を中心とした複数の公家が、御所の女官たちと不適切な関係を持ったことが発覚し、関係者は処罰されました。この事件は、当時の公家社会の乱れた風紀を象徴するものとして知られています。大炊御門頼国もこの事件に関与したことで、流罪という処分を受けることになりました。

頼国の生涯は、公家社会の華やかさと、その裏に潜む権力闘争や不祥事といった負の側面を垣間見せるものと言えるでしょう。甑島での生活や、その後の子孫の伝承など、興味深いエピソードも多く残されています。

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