大衍暦

大衍暦（たいえんれき）について

大衍暦は、中国の太陰太陽暦の一形式であり、かつて中国や日本で広く利用されました。唐の時代、僧侶の一行は、当時の皇帝である玄宗の指令を受け、この暦法を編纂しました。彼らは広範囲にわたる天文測量を行い、南は交州から北は鉄勒までの子午線の弧長を測定しました。この大規模な測量作業は、中国全土に対応した非常に整備された暦法の基盤を築く重要なステップとなりました。

中国では、開元17年（729年）から上元2年（761年）までの33年間、大衍暦が正式に使用されました。この暦法は、後に続く暦法の模範ともなり、その精密さと整備性が高く評価されました。特に、太陽の運行が持つ不均等性を考慮に入れた太陽運行表が作成され、その計算には不等間隔二次差補間法が採用されました。さらに、日食の計算においては、地域ごとの時間差も考慮されていました。

日本における導入

大衍暦は、もともと唐から日本に導入され、吉備真備が天平7年（735年）にこの暦法を日本に持ち帰りました。しかし、当時の日本には暦学に精通した専門家が不足していたため、暦の実施には慎重な準備が必要とされました。このことは『続日本紀』の中にも記録されています。

その結果、暦の実施は長期にわたって準備され、最終的には藤原仲麻呂政権のもとで実現されました。具体的には、天平宝字8年（764年）から貞観3年（861年）までの98年間にわたり、大衍暦が日本で用いられることになりました。

また、天安2年（858年）からの4年間は改暦の準備段階として五紀暦と併用されましたが、その後、貞観4年（862年）には新たに宣明暦が導入され、大衍暦の使用は徐々に薄れていきました。

このように、大衍暦は中国の歴史の中で重要な役割を果たすとともに、日本の暦法の発展にも寄与したのです。まとめて言うと、大衍暦はその技術的な整備や実施における努力が、古代の天文学や暦学の重要性を物語る非常に魅力的な歴史を持っています。

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