大谷祖廟

大谷祖廟（東大谷）

大谷祖廟は、京都市東山区に位置する真宗大谷派の本山、真宗本廟（東本願寺）が所有する墓地です。浄土真宗の宗祖である親鸞聖人の墓所（御廟）があり、通称「東大谷」として親しまれています。江戸時代には「大谷御坊」と呼ばれていました。

歴史

草創期

弘長2年（1263年）、親鸞聖人は90歳で入滅されました。荼毘（だび）の地は、鳥部野の南の辺、延仁寺と伝えられています。文永9年（1272年）には、親鸞聖人の遺骨が、覚信尼によって大谷から吉水の北辺（現在の知恩院崇泰院の場所）に移され、大谷廟堂が建立されました。

元亨元年（1321年）、覚如によって大谷廟堂は寺院化され、本願寺と号しました。本願寺は、元亨元年（1321年）から寛正6年（1465年）までの間、大谷本願寺とも呼ばれていました。

寛正6年（1465年）には、比叡山延暦寺の衆徒によって大谷本願寺が破却されるという事件（寛正の法難）が起こります。その後、井上願知によって祖墳は守護され、大谷道場と称されました。天文元年（1532年）の天文の錯乱では、山科本願寺とともに大谷道場も破却されますが、願知の子孫である祐願によって復興されました。

元亀2年（1571年）の石山合戦では、大谷道場が再び破却されます。天正17年（1589年）には、祐願の妻・妙祐と子息・祐誓が、大谷道場の復興にあたって豊臣秀吉から地銭免除の朱印状を受けています。

慶長5年（1600年）、大谷道場に隣接する知恩院が拡張されることになり、東本願寺第十二代教如は、祐誓に大谷道場の御堂の移築を命じます。これにより、祐誓は御堂を四条富小路へ移築して徳勝寺を創建しました。

東西分立

慶長7年（1602年）の本願寺の東西分立に際して、教如は東本願寺境内に親鸞聖人および本願寺歴代の仮墓を建立します。慶長8年（1603年）には、知恩院の拡張造営工事に際して、祐誓の妹婿である善了の申し出により、親鸞聖人荼毘の地である延仁寺の旧地と伝えられる鳥部山に代替地が与えられ、大谷道場は改められ新たに勝久寺として創建されました。また、大谷道場の旧地には知恩院塔頭の崇泰院が建立されました。

寛永16年（1639年）に勝久寺は西本願寺に属することとなり、西本願寺の親鸞聖人廟所として整備され、大谷本廟（西大谷）となりました。勝久寺が西本願寺の末寺になったことにより、東本願寺では新しい祖廟の造営が求められるようになり、寛文10年（1670年）に、東本願寺第十四代琢如は、東本願寺境内に置かれていた親鸞聖人および本願寺歴代の仮墓を、教如・宣如の両墓とともに東山にある現在地に移し、大谷御坊と称しました。

元禄12年（1699年）、第十六代一如は大谷御坊にある祖廟の改築に着手します。翌元禄13年（1700年）に一如が入滅すると、改築工事は一時中断となりますが、元禄14年（1701年）に第十七代真如が一如の一周忌厳修の後に改築工事を再開し、本堂が完成しました。また、同年に祖墳の改葬を行っています。元禄16年（1703年）には真如により遷仏会が行われました。

宝永6年（1709年）に虎石を祖墳上に置きます。

延享2年（1745年）、江戸幕府第8代将軍徳川吉宗が、大谷御坊に隣接している長楽寺から境内地一万坪を没収し、そのまま大谷御坊に寄進したことにより寺基が拡張されました。

文政3年（1820年）に大谷新道が開かれ、安政4年（1857年）には大谷新道南北の畑地を買い取っています。

1872年（明治5年）に大谷御坊は大谷管刹と改称されましたが、1876年（明治9年）には大谷別院に改称されました。1952年（昭和27年）には、東本願寺の飛び地境内と定められて「大谷本廟」と改称し、1981年（昭和56年）に現在の名称である大谷祖廟に改められました。

東本願寺は江戸時代に四度の火災に見舞われていますが、その際には大谷祖廟が御真影（親鸞聖人の影像）の避難所となりました。

2010年（平成22年）には、「宗祖親鸞聖人七百五十回御遠忌」の記念事業の一環として、本堂と総門（表唐門）が修復されました。表唐門の修復工事の際に、屋根内部より棟札が発見され、現存する「表唐門」は新築されたことが確定しました。

境内

御廟: 親鸞聖人ならびに真宗大谷派御歴代の墓所
拝所
鐘楼
南門
寺務所
本堂: 元禄14年（1701年）建立。本尊である阿弥陀如来立像を安置
庫裏
賀慶殿
茶室
北門
太鼓堂: かつては2階部分の太鼓で時間を知らせていましたが、現在は時計が普及したため使用されていません
総門（表唐門）: 四脚御門。東大谷参道側の門

行事

花まつり: 4月1日-8日に開催
暁天講座: 8月1日-5日（毎朝6:30-7:30）に催される早朝法座
東大谷万灯会: 8月14日-16日に開催。約1万個の提灯が灯されます
報恩講: 9月27日・28日
定例法話: 先門首の命日である13日と、宗祖親鸞の命日である28日に開催される法話会

アクセス

京阪本線 祇園四条駅から徒歩15分
阪急京都線 京都河原町駅から徒歩20分
京都市営地下鉄東西線 東山駅から徒歩20分
* 京都市営バス 祇園バス停下車、徒歩10分

もう一度検索