天徳寺 (秋田市)

天徳寺

天徳寺は、秋田県秋田市泉に位置する曹洞宗の寺院です。本尊は聖観音で、久保田藩（秋田藩）主であった佐竹家の菩提寺として、その歴史を深く刻んでいます。秋田県指定史跡としても知られ、多くの文化財を保有しています。

歴史

天徳寺は1462年（寛正3年）、佐竹家当主の佐竹義人（義憲）が、夫人の冥福を祈るために常陸国久慈郡太田村（現在の茨城県常陸太田市）に創建されました。その後、1590年（天正18年）には水戸霊松山（現在の水戸東照宮所在地）へ移転。1602年（慶長7年）には、佐竹家の転封に伴い、出羽国秋田郡楢山村の楢山（現在の金照寺山）へと移りました。

1624年（寛永元年）には火災により総門を残して全焼してしまいましたが、翌年5月に現在の秋田郡泉村の泉山へ移転しました。焼失を免れた総門もこの際に移築されています。しかし、1676年（延宝4年）12月に再び火災が発生し、総門と山門を残して再び全焼。その後、9年の歳月をかけて再建され、現在の姿となりました。

1672年（寛文12年）には、本堂西の墓所に佐竹家の霊屋が建てられ、歴代の久保田藩主とその夫人たちの霊が祀られています。1998年（平成10年）には、東京の総泉寺にあった正室や側室などの墓も移されました。

1990年代初頭には、本堂、書院、山門、総門の4棟と佐竹家霊屋が重要文化財に指定されたほか、「十六羅漢像」など多くの寺宝が秋田県・秋田市の文化財に指定されています。これらの寺宝は、毎年8月17日・8月18日に虫干しを兼ねて一般公開され、多くの人々が訪れます。

文化財

天徳寺には、数多くの貴重な文化財が保存されています。

重要文化財

本堂: 1687年（貞享4年）に建立された、入母屋造、茅葺きの大建築です。間口は約30メートルあり、内部は8室に分かれています。
書院: 本堂の東に接しており、1806年（文化3年）に建立されました。寄棟造、鉄板葺きで、藩主の墓参時の休憩に用いられた上段の間があります。
山門: 1709年（宝永6年）に建立された、三間一戸、瓦葺きの楼門です。
総門: 境内入口に建つ、切妻造瓦葺きの四脚門です。17世紀初頭の建立と推定されています。
佐竹家霊屋: 本堂西側の墓域にあり、1672年（寛文12年）に3代藩主佐竹義処が建立しました。

市指定文化財

絹本著色八幡太郎義家・新羅三郎義光像: 近世期の肖像画で、源義家・源義光の姿が描かれた対幅像です。佐竹氏の始祖である義家・義光を描き、武家権威の誇示と佐竹氏の先祖崇拝を示す像として注目されています。

所在地

秋田県秋田市泉三嶽根10-1

交通アクセス

JR秋田駅西口から秋田中央交通バスで約15分、「天徳寺前」バス停下車
JR泉外旭川駅・外旭川駅前広場から秋田中央交通バスで約5分、「天徳寺前」バス停下車

近隣情報

秋田市平和公園
秋田大学

天徳寺は、佐竹家の歴史と文化を伝える貴重な寺院であり、秋田を訪れる際にはぜひ立ち寄りたい場所です。四季折々の自然に囲まれた境内は、訪れる人々に心の安らぎを与えてくれます。

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