太田山神社

太田山神社

太田山神社（おおたさんじんじゃ）は、北海道久遠郡せたな町に位置する神社で、北海道本土の最西端にあります。また、道南五大霊場の一つとしても知られ、地域の信仰の中心となっています。地元の人々からは太田神社や太田の神社と呼ばれ、猿田彦大神をお祀りしています。かつての社格は村社でした。

歴史

太田山神社の創立は嘉吉年間（1441-1443年）にさかのぼると伝えられています。その後、享徳3年（1454年）には松前藩の祖である武田信広らが太田に上陸し、太田大権現という尊号を賜りました。この出来事以来、神社は航海の無事と霊神の加護を求める信仰の対象となりました。

また、寛文年間（1660年代）には美濃国から訪れた僧・円空がこの地で修行し、多くの仏像を刻んだとされています。さらに、寛政元年（1789年）には著名な文人・菅江真澄が太田山に登り、その様子を記録に残しました。

明治4年（1871年）には神仏分離令により、神社に奉納されていた大日如来などの仏像が，太田山の山麓に建立された大日堂に移されました。その後、大正11年（1922年）には山火事により本殿や仏像が焼失しましたが、その後に本殿が再建され、女人堂も新たに建設されました。

立地とアクセス

この神社は道南五大霊場の一つであり、周囲には江差町の笹山稲荷、函館市の恵山賽の河原、奥尻町の賽の河原、八雲町の門昌庵が広がっています。神社は太田山の中腹に位置し、社殿へと続く道は急勾配の階段やロープを使わなければならない山道です。

最初の鳥居は北海道道740号北檜山大成線沿いに立っており、そこから長く急な石段が続きます。登り進めば、草木が生い茂る獣道のような山道や足場が現れます。この付近ではヒグマやブヨ、蚊、ハチ、マムシに遭遇することもあるため、十分な注意と対策が必要です。

登り切った先には高さ7メートルの北尋坊という崖があり、そこには鉄輪とロープを使ってたどり着くことができる神社本殿が構えています。神社を訪れるには体力を必要としますが、訪れる価値のある場所です。

木喰の来訪

木喰は甲斐国出身の木食僧で、生涯にわたり多くの仏像を制作しました。安永7年（1778年）には弟子の木食白道とともに蝦夷地を訪れ、安永9年（1780年）5月まで滞在しています。木喰はこの地域で造像活動を行い、特に二海郡八雲町にある門昌庵での作品が初期のものとされています。

木喰が太田山神社を訪れ、円空仏を目の当たりにすることで造像活動に着手したとの説が存在しますが、具体的な史料はありません。しかし、弟子の白道は『木食白導一代記』において太田山神社を訪れ、多くの仏像を見た記録を残しています。

まとめ

太田山神社はその歴史深く、信仰の場として地域に根づいています。厳しい自然環境の中で、神社を訪れるなかで感じるパワーや信仰心を持ち帰ることができる、貴重な場所です。訪問する際は、安全対策をしっかり整え、心身をリフレッシュするひとときを楽しんでほしいと思います。

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