奥村繁次郎

奥村繁次郎について

奥村繁次郎（おくむら しげじろう、1873年 - 1919年12月16日）は、明治から大正時代にかけて活躍した日本の著作家かつ好事家であり、特に食文化や古典籍に関する研究に力を入れた人物です。彼は「繁治郎」という名でも知られ、また残跡庵や化曼といった号も持っていました。

生い立ちと学問の道

奥村は東京下谷の和泉橋通、御徒町で焼き芋屋を営む家に生まれました。若い頃から読書に親しみ、坪井正五郎の研究室に通ったことで、山中共古や清水晴風、竹内久一、林若樹、三村竹清といった当時の著名な古典文学者たちとの交流が生まれました。このような繋がりから、彼は商号「芋繁」としても名を馳せるようになりました。

独学を通じて本草学を深く探求し、飲食や料理に関する知識を豊富に持っていたため、彼の友人たちからは「食物博士」と称されることもありました。これは、彼が日本における目録学の成立以前から古典籍の収集に力を注いでいたことと密接に関係しています。後には古書店を営むようになり、知識の広がりを求めました。

文筆活動と後年の苦労

焼き芋屋と古書店を経営する傍ら、奥村は文筆業への転向を試みましたが、あまり成功には繋がりませんでした。彼は旧友からも見放されるようになり、晩年は占い師として生活していたと言われています。1946歳でこの世を去り、彼は浅草の海禅寺に埋葬されました。

著作一覧

奥村繁次郎は多くの著作を残しています。代表的な著作には以下が含まれます：

• - 『食類辞典』
• - 『犬肉食用考』（1900年、東京人類學會雜誌）
• - 『家庭和洋料理法』（1905年、大学館）
• - 『豆腐百珍 衛生料理』（1906年、萩原新陽館）
• - 『於台処料理 : 経済美味』（1907年、文星堂）
• - 『家庭に於ける吉凶百談』（1908年、博文館）
• - 『漬物法二百種 蔬菜魚鳥』（1912年、博文館）
• - 『実用家庭支那料理法』（1912年、盛林堂）
• - 『魔法と忍術 : 極意皆伝』（1917年、国華堂書店）
• - 『五羽養鶏十倍産卵法』（1918年、国華堂書房）
• - 『養鶏家の相談相手 : 附・家鴨と真鴨の多産法』（1918年、国華堂書店）
• - 『神霊まじない秘密奥伝』（1984年、さわね出版）

参考文献

彼の足跡に関する情報は、次の文献にも記されています：

• - 三村清三郎『本之話』（岡書院、1930年）
• - 柳田國男『故郷七十年』（朝日選書、1974年）
• - 山本笑月『明治世相百話』（中公文庫、1983年）
• - 山口昌男『内田魯庵山脈』（岩波現代文庫、2010年）

奥村繁次郎の業績は、彼の時代の日本の食文化や文芸において重要な位置を占めており、今日でもその影響を感じることができます。彼の著作や思想は、文化の多様性と深みを理解する上での手助けとなることでしょう。

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