女神転生外伝ラストバイブルシリーズ

『女神転生外伝ラストバイブルシリーズ』は、アトラスから発売されたRPGシリーズです。本シリーズは、『女神転生』シリーズの派生作品として、ゲームボーイを中心に展開されました。

概要

本シリーズは、ゲームボーイの低年齢層ユーザーをターゲットに開発されました。仲魔や合体システムといった『女神転生』シリーズの要素を受け継ぎつつ、ファンタジー色を強めた世界観が特徴です。ゲームタイトルにもあるように、「聖書」をモチーフとした物語が展開されます。

シリーズ内では、悪魔ではなく「魔獣」、悪魔合体ではなく「魔獣合成」という独自の呼称が用いられています。また、本家『女神転生』シリーズで多く見られる3Dダンジョンは、『スペシャル』を除き、トップビューの2D視点が採用されています。後にゲームボーイカラーに対応したカラー版も発売されました。

ナンバリング作品の企画開発は、マルチメディアインテリジェンストランスファーが担当し、その路線は同社開発の『真・女神転生デビルチルドレン』シリーズへと引き継がれていきました。

ストーリー全体を通して、魔獣との共存がテーマとして描かれています。魔獣と戦ったり、時には説得して仲間にしたりするシステムは、『ポケットモンスター』シリーズを彷彿とさせます。また、通信対戦の要素は『ドラゴンクエストモンスターズ』シリーズからの影響が見られます。しかし、これらの作品とは一線を画し、よりハードな世界観やストーリー展開が、大人も楽しめる魅力となっています。

女神転生外伝ラストバイブル

1992年 12月23日にゲームボーイ用ソフトとして発売されました。1999年にはゲームボーイカラー版が発売され、2012年には3DSバーチャルコンソールでGBC版の配信が開始されました。海外では「Revelations: The Demon Slayer」というタイトルで、1999年8月にゲームボーイカラー版が発売されています。

セガ・エンタープライゼス（後の株式会社セガ）が販売していた携帯ゲーム機・ゲームギアにも移植版（以下「GG版」）が存在し、1994年に発売されました。GG版は、システムやストーリー展開はゲームボーイ版に準拠していますが、魔獣のグラフィックが全面的に書き直され、演出面が強化されるなど、大幅なアレンジが加えられています。また、追加ストーリーにより、ゲームボーイ版とは異なる結末を迎えます。GG版は、2020年10月6日にセガ自身が発売したゲームギアの復刻ゲーム機「ゲームギアミクロ」「レッド」に、プリインストールされた4作品の一つとして収録されています（「ラストバイブルスペシャル」も収録）。

Iのシステム

「外伝」という位置づけから、独自のシステムが多数搭載されています。

対戦モードによる通信対戦
主人公3人が全滅するとゲームオーバー。所持金を半分失う代わりに、最後に泊まった宿屋から再開
月齢システムは非搭載
マグネタイトはアイテムとして登場。魔獣のほこらで別のアイテムと交換可能
セーブはどこでも可能
シリーズで唯一、主人公キャラクターのデザインを金子一馬が担当
BGM担当は簗田裕之と光永巌。簗田は続編のII・IIIも担当

会話

主人公だけでなく、サブキャラクターや仲魔も魔獣と交渉できます。主人公の場合は選択肢が表示されますが、サブキャラクターや仲魔の場合は「交渉中」と表示されるのみで、会話の内容は不明です。敵から話しかけてくることもあります。

魔獣合成

サブキャラクター1の魔法「コンバック」を使用することで、仲魔同士を合成し、新たな魔獣を生み出すことができます。まれに、予期せぬ魔獣が出現することもあり（ミューテーション）、これらの魔獣は合成できません。アイテムとして入手できる「ほね」を集めて「賢者の岩山」に持っていくと、ゾンビとして復活させることができます。ゾンビはさらに「ペテルの洞窟」で蘇生してもらえます（キリン、アモン、ドラゴンの3種。ただし魔獣合成はできません）。

魔法

基本的な魔法体系は『女神転生』シリーズと共通していますが、一部特徴的な魔法も存在します。

ランカ系の攻撃魔法（ランカ、ランカム、ランカイン）は、数回唱えることで発動する（連続でなくてもよい）。威力が高い魔法ほど、必要な回数が多い。
サマリカームなどの蘇生魔法は、戦闘中に使用できない。
トランパで主要な町へ瞬間移動が可能。
リエンズはエストマと同様の効果。

Iのストーリー

遥か昔、神が神と呼ばれず、悪魔が悪魔と呼ばれていなかった時代。太陽系の第五惑星に住む人々は、「ガイア」と呼ばれる超能力を使って文明を築いていました。主人公のエルは、ガイアの力を訓練していましたが、突如として現れた魔獣の群れによって人々が襲われ始めます。エルは魔獣の謎を解き明かすため、旅に出ます。

Iの登場人物

登場人物は「人」ではなく「神」であるため、神話の神々や天使の名を冠する者が多く存在します。

エル：本作の主人公。16歳。レムリア大陸のモイラの街出身。フォースの女神に導かれ、フォースに目覚めていきます。
キシュ：レムリア出身。好戦的な性格。魔獣を合成させる魔法コンバックを使えます。
ウラノス：ラムーの神官ラファエルの娘。優しい性格で、強い魔獣も仲魔にできます。
ゾディア：モイラの教官。後にエルと対立することになります。
ハータ：魔獣について調査している男性。
メフィスト、ベリアル、バアル：ストーリー序盤から登場するガイアマイスター。
ラファエル：ラムーの神官であり、ウラノスの父。
トリトン：ティルムンの神官の息子。
ヒラム：方舟の技術者。
ミカエル、ルシフェル：元ガイアマイスター。

Iのキーワード

オリハルコン：星の生命力を維持する宝。魔獣たちが欲しがっています。
ガイア：破壊の力であり、特殊な力の総称。
ゾード：ガイアを信奉し、魔獣を倒す組織。
ソルの指輪：動物と会話できる指輪。
方舟：空を飛ぶ舟。
フォース：調和の力。
コキトエルコス：GG版で追加された魔法。

Iのスタッフ

（省略）

女神転生外伝ラストバイブルII

1993年 11月29日にゲームボーイ用ソフトとして発売。1999年にゲームボーイカラー版が発売され、2012年には3DSバーチャルコンソールでGBC版の配信が開始されました。

ゲームボーイユーザーの対象年齢に合わせて、パッケージイラストのキャラクターの頭身が前作より低くなっています。

IIのシステム

主人公とサブキャラクターが全員気絶するとゲームオーバー。所持金を半分失う代わりに、最後に泊まった宿屋から再開
舞台が地球に移ったため、月齢システムが復活
マグネタイトはアイテムとして登場。魔獣の店で別のアイテムと交換可能。ワナの餌にも使える
ダンジョン内でセーブができなくなった（一部例外あり）

会話

魔獣との会話にリアルタイムの概念が導入。返答が遅れると、魔獣が様々な解釈をし、交渉が決裂することもあります。

仲魔

レベル差が5までの魔獣を仲魔にできる
仲魔も武器・防具の装備が可能
能力上昇アイテムが仲魔にも使用可能
ワナにマグネタイトを仕掛けて魔獣を捕獲することも可能
魔獣の卵をパーティーに入れて育てると孵化して仲魔になる
仲魔を訓練所に預けると、成長して帰ってくることがある
「ほね」は各地のほこらでゾンビ化でき、アイテム「ミュートの種」で復活させられる

魔獣合成

シドンの魔獣合成師と、サフィアの魔法コンバックで魔獣の合体ができる。月齢によって合体後の能力が変動する。武器、防具を装備させた状態で合体すると、その情報が遺伝して合体後の能力に影響を与える。ミューテーションは他の仲魔とは合体できないが、ミューテーション同士の場合のみ合体できる。

ノート

エブラの老人がくれるアイテムで、戦闘で魔獣に対して使うと、以降の戦闘でその魔獣の簡単なデータ（レベル、HP、MP）が表示されるようになる。

IIのストーリー

第五惑星の崩壊後、人間と魔獣は第三惑星テラをめぐって戦争を繰り広げました。それから2000年後、人々は魔獣とともに平和に暮らしていましたが、預言者メドクが魔獣王グライアスの復活を予言します。マゴク王は生まれたばかりの赤子を全て抹殺するよう命じますが、2人の赤子が密かに助け出されます。15年後、双子の魔獣ケルベロス、オルトロスとともに魔獣ソルレオンによって育てられた少年ユーリの物語が始まります。

IIの登場人物

ユーリ：本作の主人公。魔獣を愛する少年。ソルレオンに育てられました。
サフィア：合成魔法コンバックを使いこなす美少女戦士。
エサウ：伝説の国ブランティカを探す冒険家。
ガンズー：マゴク王国のガイアマイスター。
クラウ、ゾディア：ユーリと旅をする仲間。
ソルレオン：ユーリの養母である魔獣。
ケルベロス＆オルトロス：ソルレオンの双子の息子。
エブラの王：人と魔獣の共存を目指す国王。
マゴクの王：魔獣王復活の恐怖にとりつかれている。
メドク：禁断の研究を続ける研究者。
メディア、ラルサ：ユーリの幼馴染。

IIのキーワード

グライアス：魔獣王。
バアルの書：生命の創造について述べられた禁断の書。
オニ：メドクが生み出した新しい生命体。
グランマム：オニを造るのに用いられる土偶のような人形。
ベクレル合金：グランマムの材料となる金属。
ブランティカ：黄金の都。
ドゥー：ブランティカで造られた人型の存在。

IIのスタッフ

（省略）

ラストバイブルIII

1995年 3月4日にスーパーファミコン用ソフトとして発売。2015年、Wii U バーチャルコンソールで配信開始。主人公である子ども達を強大なポリス国家の陰謀に立ち向かっていく過程を描いたRPG。ガイアと呼ばれる力を高めていくことで子ども達の能力を好きなように成長させられる。

IIIのシステム

会話は前作同様、リアルタイムトークを採用。会話の選択肢を選ばない場合沈黙となる。また魔獣の感情の変化（普通、喜び、怒り、おびえ）や好感度が表示される。
Ⅲでは時間が経つと月齢が変わる。人間は満月だと強く、魔獣は新月になると強くなるように設定されている。
主人公達が全員気絶するとゲームオーバー。タイトル画面に戻される。
魔獣合成は、合成師のところに行くか、魔法コンバックで行う。合成のさいに魔法継承が可能。合成前の2体の魔獣が持っていた魔法の中から2つを選んで継承できる。
またミューテーションが発生すると特殊な魔獣（ミュート）が出現する。ミューテーションはアイテム「ミュートの種」を使って人為的に起こすこともできる。
アイテムとして入手できる「ホネ」を集めてホネ合成師のところに行くと、ガイコツ、ゾンビ系の魔獣（マイラル）を合成してくれる。ゾンビはさらにミュートの種で復活できる。
イベントで入手することがある魔獣の卵は、パーティーに加え、戦闘で卵に対する攻撃を防御してやると、卵は愛情を感じて孵化し、仲魔となる（種族はカルマン）。
百魔問答では、魔獣との会話が10回成功するごとに特殊な魔獣が出現し、これと会話を成功させると仲魔にできる。ユミールの村のオルトロスに話しかけるとできる。
魔獣カードを入手すると、モンスターノートで魔獣のデーターが確認できるようになる。ただしミュート、マイラル、カルマンなど特殊な魔獣のカードは存在しない。
魔獣もレベルアップする。ただし最大4レベルしか上がらない。レベルアップ時にパラメーターを振り分けることができる。なお、レベル上限に達した後に戦闘を重ねると、上位種に変化する魔獣も一部存在する（ピクシー等）。
S&Wに魔獣を預けると、調教して強くしてもらったり、信号弾で戦闘中に助っ人として呼ぶことができる。
マグネタイト（アイテム）は、集めると魔獣の店で他のアイテムと交換できる。
パッドリセットあり。

IIIのストーリー

かつて世界はエネルギー源であるラピス鉱石をめぐって対立し、30年もの長きにわたる戦争を繰り返してきた。この5大ポリス戦争は、クリーン・エネルギーを供給する永久機関フェレストが発明されたことによって終結し、人々は平和を取り戻したかに見えた…。しかし15年後、再び世界に異変が起きようとしていた。ある日、ラガの村に住むグレンはメガロ・ポリスに旧友のアレクを訪ねようと考えていた。2人は先の戦争ではシャドー・ウォーカー部隊でともに戦った仲だった。そこに突然アレクの訃報が届く。友の死に疑問を感じたグレンはメガロ・ポリスに赴いて真相を調べようと考えた。異変は別の場所でも起きていた。ヒートの村では子供たちが惨殺される事件が相次ぎ、ブルトン魔法学校の教師キャルルは故郷の事件を解決するために一時帰郷することになった。おりしもメガロ・ポリスでは、ポリス内でガイア（魔法）の使用を禁止する法案が可決され、魔法学校のキャク校長は抗議のために出向くことを決心し、その間学校は休校となった。休校前最後の授業が終わり、魔法学校の飛行艇が生徒を送り帰す。その頃、東の空にポリス軍の兵士を乗せた飛行艇の姿があり、それはラガの村に向かっていた。彼らの任務はグレンを暗殺することであった…。

IIIの登場人物

シエル
ルディ
チビりゅう
ドゥー
モチョワ
アロン
ハリー
ヨナタン
キャルル
グレン・ラースフォード
イリア
リンクル・アデスト
ラモン・イエーガー
バール
ベリアル
ルシフェル
アレク・メッセナ
キャク
シャーク
レナ
バニパル
ベンショーハ
メルゥ
ガーフィ

IIIのキーワード

ガイア禁止法
シャドー・ウォーカー部隊
バルバロイ
フェレスト
ネクロノミコン
メモリーストーン
ラピス鉱石

IIIのスタッフ

（省略）

アナザ・バイブル

1995年 3月4日にゲームボーイ用ソフトとして発売。キャラクターデザインは御祇島千明。今までのシリーズとは違いRPGではなく、魔神転生シリーズのようなシミュレーションRPGになった作品。2008年 10月6日からアトラスモバイルコンテンツで携帯アプリ版が配信されている。BGM担当は松前真奈美。

アナザ・バイブルのシステム

味方敵関係なく能力値の速さが高い順に行動するリアル・アクティブ・ターン・システム（RATS）を採用。
条件を満たすと勝利、カシエルもしくはピュティアが倒されると敗北（ゲームオーバー）になる。タイトル画面に戻される。
攻撃は基本的に1回だけだが速さの値が相手との差が高い場合2回目の攻撃をする。
一部のキャラを除くほとんどのキャラが固有能力の特殊コマンドを持っている。
ターンの開始のみセーブとリスタートをすることができる。

仲魔

基本的にはピュティアの特殊コマンド「誘惑の言葉」でしか仲間にならない。
シリーズではお馴染みの魔獣同士の合体が存在せず、魔獣はランクアップで強化される。魔獣合体がないかわり、マシンと悪魔の細胞を融合させる「バイオ合体」という独自の合体がある。
人間と同じようにレベルアップすることができ、ボーナスポイントで能力値を上げられる。

魔獣

1種族ごとに1体ずつしか仲間にできない。
レベルアップのための必要経験値が人間やマシンより高く設定されている。
レベルが3レベルに到達するごとに同種族系の上のランクの魔獣にクラスアップする。ただし、レベルや能力値はクラスアップ後のランクの魔獣のレベル1の値にリセットされる。
ほとんどの種族はランク3が最高だが魔獣、妖精、魔王の3つの種族は「3大闘神」というランク4がある。

マシン

意志を持った機械の種族。
ピュティアの「誘惑の言葉」で仲間になるほか、アイテム「謎のマシンA～D」を入手することで仲間になるタイプや特定のMAPでの会話イベントで仲間になるタイプが存在する。
魔獣と違い同名のマシンごとに1体ずつ仲間にできる。
魔獣のようなレベルでのランクアップはしない。
人間や魔獣とは違い魔法の代わりに兵器を使うマシン武装を覚える。
機械の町マイアキクの店で1体のマシンにつき1回だけ「バイオ合体」することができ、マシンから「マシン獣」に強化できる。

マシン獣（機獣）

マシンと魔獣の「バイオ合体」のみで仲間になる味方限定の種族。
魔獣やマシンと違い同名のマシン獣を複数仲間にすることができる。
人間と魔獣用の魔法とマシン用のマシン武装の両方を覚える。

アナザ・バイブルの登場人物

カシエル
ピュティア
アルタ
ワイルド
ヘラ
ストラス
フロン
オゾン
レイ
セピア
スピカ
リーンファ
エスタ
T
クレーエ
ビバーティ
リリト
マーヤー
ウーピー
ネズビット
タヴ
プロトクレーエ
イナゾー
ラグ
サミア
スフィンクス
ミカエル

アナザ・バイブルのキーワード

フィーダ
バイブル

アナザ・バイブルのスタッフ

（省略）

女神転生外伝ラストバイブルスペシャル

1995年 3月24日にゲームギア用ソフトとしてセガ・エンタープライゼスが発売。魔王グライアスに奪われた聖地エルサレムを取り戻すべく、勇者マテルが仲間を集めて迷宮に挑む。

ラストバイブルシリーズでは唯一、3Dダンジョンを採用しており、ダンジョンの攻略と仲間キャラクターの育成に重点を置いた作りになっている。仲魔システムと一部の魔法、アイテムなどの名前を継承している以外、他のシリーズ作品との関連性は殆どない。

リリース後、他の汎用的なゲーム機への移植はされていないが、2020年10月6日に発売されたゲームギアの復刻ゲーム機「ゲームギアミクロ」の「レッド」にプリインストールされた4作品の一つとして収録された。基本的にはそのままの収録だが、エルサレムなどの現実の地名に由来する固有名詞は変更されている（前述したとおり『ラストバイブル（I）』のGG版も収録されている）。

ラストバイブルスペシャルのスタッフ

（省略）

新約ラストバイブルシリーズ

ラストバイブルをオリジナルストーリーでリメイクしたシリーズ。本編以上にやりこみ要素が盛り込まれている。

携帯アプリのアトラスモバイルコンテンツで配信した他、後年他のゲーム媒体向けにも配信された。

女神転生外伝新約ラストバイブル
女神転生外伝新約ラストバイブルII 始まりの福音
女神転生外伝新約ラストバイブルIII 夢幻の英雄

外部リンク

（省略）

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女神転生外伝 ラストバイブルシリーズ