妙見山 (大阪府・兵庫県)

妙見山

妙見山は、兵庫県と大阪府の境界に位置する山で、北摂山系に属しています。古くから山岳信仰の対象として崇められており、山頂付近には日蓮宗の重要な寺院である能勢妙見堂があります。

概要

能勢妙見堂は、正式名称を無漏山真如寺境外仏堂能勢妙見山といい、能勢町地黄にある真如寺の飛び地境内です。しかし、本寺である真如寺よりも多くの参拝者を集めることで知られています。山頂には四等三角点が設置されており、大阪府豊能郡豊能町に位置しています。

妙見山は、西南日本におけるブナの自生南限としても重要な場所です。かつては大阪府側のみに分布すると考えられていましたが、兵庫県川西市でもブナが発見され、山頂付近のブナ林の一部が兵庫県側にも広がっていることが確認されました。大阪府内では、妙見山と和泉葛城山のみがブナの自生地として知られ、いずれも天然記念物に指定されています。

歴史

山頂には、行基によって建立されたと伝えられる為楽山大空寺がありました。鎌倉時代には、源満仲を祖とする能勢氏がこの地を領有し、妙見菩薩を祀ったとされています。江戸時代初期には、能勢頼次の帰依を受けた日乾によって新たな妙見菩薩像が彫られ、大空寺跡に建立された仏堂に祀られたのが、現在の能勢妙見堂の始まりです。

山頂の境内地に残るブナ林は、一万年以上前から存在する自然林であり、行基による大空寺建立以前から山頂付近で何らかの信仰が行われていたことを示唆しています。

中腹の滝

妙見山の北側中腹には能勢の本滝があり、江戸時代から滝に打たれる修行者が多く訪れました。江戸時代中期に刊行された『摂津名所図会』には、能勢の本滝ではなく妙見滝として紹介されており、能勢妙見堂の参詣者が身を清める滝として利用されていたことがわかります。当時、滝の横には常富堂があったとされています。1834年に編纂された『能勢東郷志』にも、参詣者が修行を行う妙見山の滝として記述されており、滝が境内地の一部として栄えていた様子がうかがえます。

明治時代に入り、廃藩置県や版籍奉還の影響を受けましたが、その後、天台宗系修験道の僧侶である野間日照が妙見滝の地を取得し居を構えました。1935年には、野間日照によって滝の横にあった常富堂が改築され、本瀧寺（現在の妙見宗総本山）が建立されました。現在、能勢の本滝に至る山道には多くの石仏が祀られていますが、これは能勢の本滝が修行の場であった時代の名残です。

その他、東側中腹には清滝、南西側中腹には新滝（雄滝）と呼ばれる滝があり、清滝の側には妙瀧寺、新滝の側には白瀧神社が鎮座しています。

交通

山頂（能勢妙見堂本堂）へのアクセスは以下の通りです。

阪急宝塚線池田駅から阪急バス東能勢線に乗り換え、「妙見口」停留所から徒歩4km
阪急バス東能勢線「中止々呂美」停留所で、北大阪急行線千里中央駅からの阪急バス箕面森町線に乗り換え
JR山陰線亀岡駅から京阪京都交通・亀岡市ふるさとバスに乗り換え、「神地」停留所から徒歩5.4km
能勢電鉄妙見線「妙見口」駅から徒歩3.6km（新滝道コース経由）

かつては妙見ケーブルや妙見の森リフトも利用できましたが、2023年12月3日をもって廃止されました。

能勢電鉄では、「大堂越コース」「新滝道コース」「上杉尾根コース」「初谷渓谷コース」「天台山コース」の5つのルートをハイキングコースとして紹介しています。

関連項目

日本の山一覧
ふるさと兵庫50山

外部リンク

能勢妙見山ブナ守の会
能勢妙見山公式HP
能勢妙見山　妙見宗総本山　本瀧寺
国土地理院 地図閲覧システム 2万5千分1地形図名：妙見山 (南東)

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