姉小路家

姉小路家：平安から明治へ続く華族の歴史

姉小路家は、名門藤原氏北家閑院流三条家を起源とする由緒ある公家、華族の家系です。複数の系統が存在しますが、近現代まで家名を継承したのは藤原北家閑院流三条家庶流の姉小路家です（ただし、途絶えた時期もあります）。本稿ではまずこの閑院流姉小路家を詳しく解説し、その後で他の系統についても触れていきます。

閑院流姉小路家：栄華と絶家、そして再興

閑院流姉小路家の始まりは、平安時代末期に遡ります。左大臣三条実房の次男、権大納言公宣が「姉小路」を名乗ったことが、この家の起源です。公家としての家格は羽林家、華族としての家格は伯爵家でした。

しかし、6代目の実広の代である室町時代初期に一度は絶家してしまいます。その後、約200年以上の時を経て、慶長18年（1613年）、同じ閑院流の権大納言阿野実顕の子である公景によって再興されました。三条家の当主、三条公広からの申し入れがあったと伝わっていますが、長期間の絶家のため、公宣から実広までの系譜と、公景からの系譜は当初は繋がっておりませんでした。しかし、宝暦9年（1759年）、桃園天皇の命によって、両系譜は同一の家系として扱われることになりました。

江戸時代には、羽林家内々の家格で、九条家の家札を持ち、有職故実を家業としていました。家禄は200石、菩提寺は松林院でした。

幕末期には、当主の姉小路公知が尊皇攘夷派の公卿として活躍しましたが、文久3年（1863年）に暗殺されるという悲劇に見舞われました。その後、子の公義が家督を継ぎ、明治2年（1869年）の行政官達による公家と大名家の統合、華族制度の創設に伴い、姉小路家も華族に列せられました。明治17年（1884年）の華族令施行による五爵制では、大納言宣任の例が多い旧堂上家として、公義に伯爵位が授けられました。ドイツに留学経験を持つ公義は外交官となり、公使館一等書記官などを務めました。

小一条流姉小路家（飛騨姉小路家）：飛騨国司家の興亡

小一条流姉小路家は、藤原師尹の子孫である藤原済時が京の姉小路に居住したことに由来する、あるいは藤原忠時が関東へ下向した際に名乗ったとする説があります。『吾妻鏡』にもその記述が見られます。建武の新政期に飛騨国司に任じられた姉小路家綱（永和4年（1378年）に確認）以降、代々飛騨国司家として知られました。

史料上初めて現れる「飛騨国司の姉小路氏」は、『後深心院関白記』の永和4年（1378年）8月27日条に記される姉小路家綱です。しかし、姉小路家がいつ飛騨国司となったのかは明確ではありません。建武政権下説や応安4年（1371年）説など諸説あります。家綱は貞和4年（1348年）には光明天皇の行幸の際に「近衛次将基氏朝臣」として名前が見え、貞治2年（1363年）には左中将であった家綱と弟の姉小路頼時（後の古川家の祖）が朝廷への出仕を怠ったことで解任されています。よって家綱が飛騨国司となったのは貞治2年（1363年）から永和4年（1378年）の間と推定されますが、北朝か南朝いずれの政権から任官されたかは不明です。

家綱の子孫は、小島家、古川家、向家の三家に分かれ、それぞれが国司を称しましたが、明徳の和約後は国司に任じられなくなりました。それでも姉小路氏が飛騨国司の通称として使われ続けたのは、伊勢北畠氏や阿波一宮氏のように南朝方から国司に任じられていた名残だと考えられています。

応永18年（1411年）の飛騨の乱では、姉小路氏は室町幕府の守護・京極高数に征討されました。どの家が（誰が）討伐対象だったかは不明瞭ですが、古川尹綱、小島師言、あるいは両者とも可能性があります。飛騨の乱の発端は、幕府と斯波氏の権力闘争、そして山科家と姉小路氏自身の争いも関係していたと考えられています。

その後、小一条流姉小路家は戦国時代を経て、織田信長の家臣・金森長近との戦いで滅亡しました。

勧修寺流姉小路家：短く途絶えた系統

勧修寺流姉小路家は、紫式部の夫である藤原宣孝を祖とする系統で、鎌倉時代の廷臣藤原宗隆の子、姉小路宗房を祖として、宗房・顕朝・忠方の3代が続きました。

系譜

（系図は省略）

各系統の系譜は複雑で、詳細な研究が必要です。本稿では概要のみを述べました。より詳細な情報は、参考文献などを参照ください。

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