孔叢子

『孔叢子』について

『孔叢子』は古代中国の儒教に関連する重要な書物で、その成立は秦漢時代から魏晋時代にかけてのものとされています。全体で23篇から成り、特異な構成を持っています。具体的には、3つの異なる書が一つに統合された形となっており、特に興味深い側面と言えるでしょう。

構成の詳細

『孔叢子』の本体は、第1篇から第10篇、および第12篇から第21篇にあたります。これらの篇では、孔子と彼の子孫たち、具体的には孔伋（子思）、孔白（子上）、孔穿（子高）、孔斌（子順）、孔鮒（子魚）、孔騰（子襄）などの人々の思想や政治に対するアプローチが描かれています。

第11篇は『小爾雅』であり、辞典的な役割を果たしています。また、第22篇と第23篇には『連叢子』が含まれており、これは『孔叢子』の補足資料として位置付けられています。ここには孔臧に帰せられる賦と書が収められており、主に前後漢時代の孔氏一族に関連した出来事や思想が語られています。

中核思想

『孔叢子』の中心となる思想には、先秦時代から受け継がれている「明徳慎罰」や「尚賢」といった理念が見られます。また、漢代の経学を背景にした「三統改制」といった理論も重要です。さらに、名家の公孫龍の登場が特徴的な公孫龍篇や、墨子に対する批判を展開する詰墨篇も注目されます。

成立や伝来について

この書物の成立については、いくつかの説があります。名目的には、秦末の陳勝の博士である孔鮒が著者とされていますが、近年の研究では清初の臧琳や清末の皮錫瑞、伊東倫厚が指摘するように、「孔子家語」といった他作品の偽作者である魏の王粛によるものとも言われています。南宋の朱熹は、これを後漢の作品として捉え、明の胡応麟は後漢の孔僖の子・孔季彦の手による集成だとしています。このように、著者や成立時期に関しては多様な見解が存在します。

文献と注釈

文献に関する記録も興味深いです。『漢書』の芸文志には『孔叢子』は掲載されていないものの、『小爾雅』一篇は含まれています。『隋書』の経籍志には『孔叢』として七巻と、『小爾雅』が収録されています。また、注釈書として北宋の宋咸による『孔叢子注』や、清の姜兆錫による『孔叢子正義』、江戸時代の冢田大峯による『冢註孔叢子』などがあります。

まとめ

『孔叢子』は中国の儒教思想を理解する上で欠かせない資料です。孔子とその子孫の処世や政策が生き生きと描かれ、また多様な思想が取り上げられているため、読者にとっては歴史的、哲学的な洞察を得るための貴重な書と言えます。様々な解釈が存在し、今後も研究が進むことでさらに新たな理解が得られることでしょう。

もう一度検索