宅孝二

宅孝二（たく こうじ）

1904年3月10日、大阪府堺市に生まれた作曲家、ピアニスト。
1983年5月3日没。

生涯

酒造業を営む裕福な家庭に生まれ、幼少期から謡曲に親しむ一方で、西洋音楽にも興味を持つようになりました。同志社大学予科を中退後、本格的に音楽の道へ進み、パウル・ショルツ、ウィリー・バルダスにピアノを、山田耕筰に作曲を師事しました。

1927年、姉夫婦に同行して渡欧。フランスのエコールノルマル音楽院に入学し、アルフレッド・コルトー、ナディア・ブーランジェ、アンリ・ジル＝マルシェといった著名な音楽家たちに師事し、ピアニストとしての腕を磨きました。また、パリ音楽院の教授ヴィクトル・ストーブにもピアノを師事しました。

1932年に一時帰国し、朝日新聞社主催のピアノ独奏会を開催。1934年に再び渡仏し、エコールノルマル音楽院を卒業後、1937年に帰国しました。

帰国後は、東京女子高等師範学校（現在のお茶の水女子大学）に勤務。戦後は、東京音楽学校（現在の東京藝術大学音楽学部）ピアノ科で教鞭を執り、後進の指導にあたりました。また、この頃からジャズピアノに傾倒し、渡辺貞夫のジャズ教室に通っていたとされています。南博や藤井郷子など、多くの優れたジャズピアニストを育成しました。1954年からは国立音楽大学でも教鞭を執り、お茶の水女子大学助教授、東京芸術大学音楽学部ピアノ科主任教授を歴任しました。

作曲家としても才能を発揮し、ピアノ曲や歌曲のほか、「社長シリーズ」など50本近くの映画音楽を手がけました。幅広いジャンルで才能を発揮し、日本の音楽界に大きく貢献しました。

親族

宅家は、代々酒造業を営む堺の旧家で、清酒「澤亀」の醸造元として知られる資産家でした。祖父の宅徳平は、実業界の重鎮であり、大日本塩業、堺瓦斯、大日本麦酒、浪速銀行、南海鉄道、東邦火災保険、大阪貯蓄銀行などの重役を務めました。父の萬次郎もまた、家業を継ぐ傍ら、日本工業所、大牟田電気軌道などの重役を務めていました。母のはなは、奥田正香の次女です。姉の増の夫である早川忠吉は、満鉄総裁の早川千吉郎の長男です。

主要作品

管弦楽曲

ロンド・カプリチオーソ

室内楽曲

弦楽四重奏曲（1946年日本音楽連盟委嘱作品入選）
チェムバロと室内楽のための組曲（1953年）芸術祭ラジオ部門参加（東京放送）
ブラックパルティータ（1953年）芸術祭ラジオ部門参加（文化放送）

ピアノ曲

2台のピアノのためのラプソディ
夜の泉
ソナティネ（ジェノバ国際作曲コンクール1位）1952年芸術祭ラジオ部門参加（東京放送）
セレナード
プーランクの主題による変奏曲
3つの即興曲
3つのピアノ曲

歌曲

女の24時間
林檎の花が降りそそぐ
猫の蚤
火の馬
その男
エプロンの歌
夾竹桃が咲いている

合唱

仲間達（混声合唱）
主婦のうたごえ（女声合唱）

映画音楽

権三と助十 かごや太平記（1956年、斎藤寅次郎監督）
処刑の部屋（1956年、市川崑監督）
日本橋（1956年、市川崑監督）
万五郎天狗（1957年、森一生監督）
女殺し油地獄(1957年、監督 堀川弘通 )
社長三代記（1958年、松林宗恵監督）
続・社長三代記（1958年、松林宗恵監督）
社長太平記（1959年、松林宗恵監督）
ひょうたんすずめ（1959年、横山隆一監督）
がんばれ! 盤嶽 (1960年)
社長千一夜（1967年、松林宗恵監督）
続・社長千一夜（1967年、松林宗恵監督）
社長学ABC（1970年、松林宗恵監督）
続・社長学ABC（1970年、松林宗恵監督）

放送音楽

真珠の小箱（MBSテレビ）
ラジオのための3つのエチュード（愛・怒り・祈り）新日本放送（1956年）芸術祭ラジオ部門参加

校歌

徳島県立徳島東工業高等学校（野上彰作詞）
大阪府立三国丘高等学校（吉武　愛作詞）
新潟県立柏崎工業高等学校（酒井薫風作詞、堀口大學補作）
上越市立直江津中学校

参加作品

あの頃の歌（日本ウエストミンスター 2006年2月1日）
ベスト・オブ・ベスト/日本の名歌（ビクターエンタテインメント 2006年9月21日）

脚注

注釈

出典

参考文献

「宅 孝二」『音楽年鑑』 昭和16年度、大日本音楽協会、1941年、189頁。
“宅 孝二”. コトバンク. 新撰 芸能人物事典 明治 - 平成. 2020年3月10日閲覧。

外部リンク

宅孝二 - 日本映画データベース
宅孝二 - allcinema
宅孝二 - KINENOTE
宅孝二 - IMDb（英語）

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