宇宿 (鹿児島市)

鹿児島市宇宿（うすき）

鹿児島市宇宿は、市の中心部に位置する町丁で、その歴史は古く、鎌倉時代からその名が見られます。かつては田園風景が広がっていましたが、土地区画整理事業を経て、現在は住宅地として発展しています。この記事では、宇宿の地理、歴史、文化、産業、教育、交通など多岐にわたる情報を詳細に解説します。

地理

宇宿は、鹿児島市の中央部に位置し、脇田川の中流域から下流域にかけて広がっています。北に広木、南に桜ケ丘、東に紫原といった町に隣接しており、東には鹿児島港のマリンポートがあります。このマリンポートとは、マリンポート大橋で結ばれています。

町域の東部には、鹿児島県道217号線（産業道路）、国道225号、鹿児島市電、JR指宿枕崎線が並行して走り、交通の便が良い場所です。鹿児島市電には二軒茶屋、宇宿一丁目、脇田の各電停があり、JRには宇宿駅があります。また、宇宿四丁目には鹿児島市立宇宿小学校があります。

歴史

宇宿の地名は、アイヌ語の「湾（ウシ）」と「所（ケ）」に由来するという説があります。鎌倉時代には薩摩国谿山郡に属し、「ウシク」と呼ばれていました。室町時代には、この地を治める地頭がおり、その子孫が宇宿を名乗っていた記録もあります。

江戸時代には、薩摩藩の支配下にあり、谷山郷の一部でした。村高は時代によって異なり、海岸線沿いには谷山筋（山川路）、脇田川沿いには伊作筋（伊作往還）という街道が通っていました。幕末には、薩英戦争でイギリス人の遺体がこの地に打ち上げられるという出来事もありました。

明治時代に入ると、宇宿はいくつかの変遷を経て、1889年には中郡宇村の一部となりました。1914年の桜島の大正大噴火の際には、多くの避難民が宇宿に上陸し、地域の人々によって救護されました。1934年には、中郡宇村が鹿児島市に編入され、宇宿は鹿児島市宇宿町となりました。

戦後の1950年代以降、宇宿の台地上では紫原や桜ケ丘などの住宅団地が開発され、脇田地区や宇宿中間・広木地区では土地区画整理事業が進められました。1970年代から住居表示が実施され、宇宿の町域は何度か再編されました。その結果、現在では宇宿一丁目から九丁目までの区域となっています。

土地区画整理事業

宇宿の発展の大きな要因となったのが、土地区画整理事業です。かつて田園地帯だった宇宿は、この事業によって道路や河川が整備され、住宅地として生まれ変わりました。特に、脇田地区と宇宿中間地区での事業は、宇宿の景観を大きく変えました。この事業によって都市計画道路や宇宿地下道が整備されました。

文化

宇宿には、古くから地域の人々に親しまれてきた神社があります。その一つが、宇宿六丁目にある妙見神社（天之御中主神社）です。この神社は、応永年間に熊野神社から勧請され、天之御中主神を主神として祀っています。

また、宇宿には市指定の文化財である「梶原迫の田の神」があります。これは、地域の人々の生活や信仰を伝える貴重な文化遺産です。

産業

宇宿には、工業と商業の両面で活発な活動が見られます。宇宿二丁目は工業団地として整備されており、造船、鉄鋼、機械金属などの工場が集まっています。また、宇宿商店街を中心に、地域密着型の商業活動も盛んです。近年では、大型商業施設の出店も相次ぎ、地域経済に大きな影響を与えています。

2015年の国勢調査によると、宇宿に居住する15歳以上の就業者数は6,456人で、特に運輸業・郵便業、金融業・保険業に従事する人が多いです。また、2014年の経済センサスによれば、宇宿には754の民営事業所があり、従業員数は7,794人でした。

宇宿商店街

宇宿商店街は、地域に根ざした商店街として、さまざまな取り組みを行っています。内閣官房の「地方の元気再生事業」に採択されたほか、中小企業庁の「新・がんばる商店街77選」にも選ばれています。商店街では、「まちの駅 宇宿」や「うすきエコステーション」の設置など、地域住民の交流を深めるための活動も積極的に行っています。

教育

宇宿には、鹿児島市立宇宿小学校があります。この学校は、1879年に脇田小学校として創設され、いくつかの変遷を経て、現在の形になりました。中学校については、宇宿には設置されておらず、近隣の南中学校、西紫原中学校、紫原中学校に通学することになります。

また、宇宿の区域は複数の小学校の通学区域に分かれており、宇宿八丁目のように、3つの小学校の校区に分かれている地域もあります。

小・中学校の学区

宇宿の学区は複雑に分かれており、住んでいる場所によって通う学校が異なります。この複雑な校区分けについては、鹿児島市教育委員会も改善の検討を行っています。

交通

宇宿には、JR指宿枕崎線と鹿児島市電谷山線が通っています。JRには宇宿駅があり、鹿児島市電には脇田、宇宿一丁目、二軒茶屋の各停留場があります。また、バスも利用できます。

宇宿の道路網は、国道225号線や県道217号線（産業道路）をはじめ、宇宿広木線や高麗通線などの都市計画道路、そして鹿児島港臨港道路などで構成されています。

鉄道

1912年に鹿児島市電が開通し、宇宿にも停留所が設けられました。1930年にはJR指宿線が開通しましたが、宇宿には駅がありませんでした。その後、1986年にJR指宿枕崎線に宇宿駅が開設され、交通の利便性が向上しました。

著名な関係者

宇宿には、作家の島尾敏雄とその妻ミホが居住していました。

まとめ

鹿児島市宇宿は、歴史と文化を持ちながら、都市開発によって発展を遂げてきた地域です。交通の便も良く、住みやすい場所として知られています。この記事が、宇宿について理解を深める一助となれば幸いです。

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